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旧海軍の鎮守府が置かれた4市(横須賀・呉・佐世保・舞鶴)は、共同で日本の近代化を進めた旧軍港のストーリーを提案して2016年に日本遺産に認定されました。今回、日本遺産のPRのため、4市への相互訪問や周遊を増やす取り組みとして「護守印」を開始しました。
1日目引き続き(https://thelocality.net/goshuin_tinjyufu_sasebo_day1/)2日目は佐世保市の西海上に位置する黒島町を巡ります。重要文化財黒島天主堂をはじめとするカトリックにまつわる文化財が多く、島全体が世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産となっています。一方で佐世保港の入り口に近い場所にあったので、戦前から軍港防衛のための砲台なども建設されており、これらは日本遺産「鎮守府」の構成資産にもなっています。黒島には各種電動モビリティが充実していますので、これを駆使して日本遺産と世界遺産の両方を楽しむことができます。
目次
何に乗って行く?黒島ウェルカムハウスでモビリティを借りていざ出発!
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黒島ウェルカムハウスは黒島の玄関口黒島港にある観光の拠点です。ここでは黒島の歴史の紹介や各種電動モビリティ(グリーンスローモビリティ、電動アシスト自転車、電動バイク)の貸し出し、島でとれた野菜や季節の果物などを使った手作りジャム、海産物などの販売も行っています。お好みのモビリティを借りていざ出発!
戦争の遺構・黒島田代砲台発電所跡島に初めて電気を供給「黒島田代砲台発電所跡」
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自転車で1分ほどの場所にあるのは黒島田代砲代発電所跡。太平洋戦争末期、連合国軍の日本本土への上陸を迎え撃つための「本土決戦」に備えるための砲台が黒島にも建設されました。これらの砲台へ電気を供給するために建設されたのがこの発電所です。戦後は発電機ごと黒島村に払い下げられ、島の生活に初めて電気を供給しました。見学後は写真を撮っておきましょう。
メニューのお魚はその日の水揚げ次第!「海鮮味処さざんか」
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砲台発電所跡から自転車で5分ほど、黒島港を見下ろす本村地区にある「海鮮味処さざんか」。予約が必要ですが、ここでは島の農作物やその日に水揚げされた新鮮な魚などをふんだんに使った「島めし」をいただくことができます。お魚はその日にならないと何が出てくるのかわかりません!お店の人に尋ねながらいただくのがおすすめです。
絵踏みがおこなわれた庄屋屋敷跡~興禅寺
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さざんかのほどちかくの本村地区。江戸時代に黒島で暮らしていた人々は全員が本村地区にある興禅寺の檀家(だんか)として寺に所属していました。そして年に1回、キリシタンではないことを確かめる絵踏(えふみ)が同じ本村の庄屋屋敷で行われていました。庄屋屋敷跡は現在公園となっていますが敷地の石垣が残されています。
黒島随一の絶景ポイント蕨展望所
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黒島の南側に広がる海を一望できる蕨(わらべ)展望所には自転車で10分ほどで到着。ここからは長崎鼻やカキ瀬鼻といった迫力のある断崖を見ることができるほか、五島灘に点在する島々も望むことができる黒島随一の絶景ポイントです。天気が良ければ上五島の島々も望むことができます。
有田焼のタイルなどの内装は必見!黒島天主堂
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さらに10分自転車を走らせて到着するのは、黒島のシンボルとなっている黒島天主堂。国の重要文化財に指定されています。フランス人のマルマン神父が設計し、島の信徒全員が建設に参加して1902(明治35)年に完成しました。堂々とした煉瓦(れんが)造の外観も素敵ですが、特筆すべきはその内装です。手で模様を描いた天井板や有田焼のタイルなど日本屈指の美しさは必見です。
物資運版の揚陸場・名切浜
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黒島天主堂から自転車で5分ほどの近さの海岸で、天主堂を建設する資材を揚陸した名切浜。ここから細い山道を通って建設現場に資材を運びました。この海岸には石造りの突堤がありますが、これは大正時代に海軍が建設したもので、黒島にあった砲台への物資運搬に使われていました。
ひときわ大きくて樹形がよい根谷のアコウ
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黒島は本土に比べてやや温暖な気候のため、島の各地に亜熱帯に属する植物が生育しています。その中でもアコウは防風林などに使われている島を象徴する植物の一つです。自転車で5分ほど進んだ場所にある根谷のアコウはそのなかでもひときわ大きくて樹形がよく、人気があります。ここから先は道が細くなるので注意が必要です。
本土決戦に備えて建設された黒島名切砲台跡
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太平洋戦争末期の本土決戦に備えて建設された黒島名切砲台跡には10分ほどで到着します。生存性を上げるために分厚いコンクリートで洞窟式に造られています。この砲台と小佐々町にあった特攻艇「震洋」で挟み撃ちにする計画になっていました。幸いにも実戦で使われることはありませんでした。
最後に「護守印」をもらおう!黒島ウェルカムハウス
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黒島ウェルカムハウスに戻ってくると、最初に立ち寄り撮影した黒島田代砲台発電所の写真を受付に提示しましょう。そうするとオリジナルの「護守印」をもらうことができます。フェリーの時間までゆっくりお買い物を楽しみましょう。
【護守印配布場所:黒島ウェルカムハウス】
(古川哲さんの投稿)