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クルマでのドライブやバイク・ツーリングがお好きな方には言わずと知れた人気の愛車撮影スポット、琵琶湖岸からほど近い滋賀県高島市のマキノ高原にあるメタセコイア並木を昨年末に筆者は訪れました。
関西随一の規模を誇るマキノ観光栗園の敷地を通る市道沢牧野線とそれに続く県道小荒路牧野沢線沿いの2.4㌔メートルにわたっておよそ500本のメタセコイアが並木となっています。
1994年に読売新聞社から新・日本の街路樹百景にも選定された並木です。
筆者宅と同じ関西エリアにありながら、紅葉の時期に見に行ったのは初めてでした。
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メタセコイアは中国本土、湖北省の山地が原産といわれる樹木です。
最大樹高が115㍍にもおよぶといわれるセコイアに姿が似ていることから、メタ(変化した)セコイアというのがその名の由来です。
現在福岡県在住の知人で、かつては兵庫県朝来市に森林技師として赴任していたことがある西村昭彦さんに写真を見ていただきましたが、日本においてこれほどまとまった規模の並木として存在し、それもこのようにはっきりと紅葉する個体は珍しいという感想をいただきました。
さらに西村さんによると、メタセコイアという植物はヒノキ科に属する針葉樹でありながら常緑樹ではなく、まるで広葉樹のように紅葉し落葉する特異な性質があるということを教えていただき、学生時代から動植物が好きで研究や調査もしてきた筆者にとってもそれは目から鱗(うろこ)が落ちるような初耳の知識でした。
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化石として出るメタセコイアの形態は白亜紀以降ほとんど変化していないそうで、大部分の化石が現生のメタセコイアと同種であるとする意見もあり、「生きた化石」といわれるゆえんです。
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イチョウと同じく雌雄同株でもあるところから、おそらくは落葉樹と分化して間もない時期の性質を今日まで持ち続けている古い姿の植物なのでしょう。
あらためて、思いがけず興味深い知識をいただくことになった貴重な体験だったと思います。
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写真は全て筆者撮影