「雪カッター」で雪下ろしを少しでも楽に。秋ノ宮に暮らす発明家の願い【秋田県湯沢市】

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2026年2月22日、秋田県湯沢市の秋ノ宮地区において「秋ノ宮雪っこまつり」が開催されました。澄み渡る青空の下で行われた雪っこまつりは、子どもからお年寄りまで多くの方々が足を運びにぎわっていました。そんな中で私は、秋ノ宮に住む、とある発明家がこの雪っこまつりに来ているとの噂を聞きつけました。

日々の生活での悩みから着想

 私が今回お話を伺うことができた方は、正ちゃん工房の菅正(すが・ただし)さん。何を隠そう、この方こそ秋ノ宮に暮らす噂の発明家なのです。

豪雪地帯としても有名な湯沢市はもちろん、大雪の降る地域で毎年必ず行われる作業といえば、除雪を思い浮かべる人も多いと思います。

中でも、屋根の雪下ろしはひと冬に何度も屋根に上がる必要があり、たくさんの労力を使う大変な作業です。しかし大丈夫。菅さんが発明した雪カッターを使えば、少ない力で効率よく雪を切ることができ、簡単に屋根の雪を下すことができるのです。

屋根の雪下ろしは、まず屋根の上に積もった雪を小分けし、これを屋根から下ろす必要があります。

重さは約1500グラムと軽量ながら、積もった雪に切れ目を入れ、一度にかたまりとして切り出すことができます。これまでスコップなどで少しずつ崩していた方法に比べ、作業の負担を大きく減らせるのです。

菅さんが雪カッターで雪を切っているところ

しかも、この雪カッター、実はビニールハウスのパイプや廃材などからすべて手作りで作られています。簡単に手に入る身近なものが菅さんの発想によって私たちの生活を楽にしてくれる発明品へと大変身しているのです。

今冬だけで200個も売り上げている雪カッター、「屋根の雪下ろしは疲れて大変だ」、「スノーダンプやスコップでは雪を切りにくい」、そんな日々の悩みから着想を得て発明したのだそうです。

菅さんが雪カッターで雪を切っているところ。踏み固めた雪にもかかわらず少ない力で切り込みを入れられる

「少しでも楽に過ごしてほしい」体の不自由な人に寄り添う思いが原点

もともと福祉施設で勤務していた菅さん。多くの障がいを持つ方々や高齢者の方々と向き合う中で、日々の生活の不自由さを理解し、少しでも楽に過ごしてほしいという願いで、一人ひとりに創意工夫をした自助具を発明してきたそうです。「今よりも少しでも楽に、快適に、豊かに」、菅さんの物づくりへの『原点』はここにあったのです。

ものづくりの先に、願うこと

「儲けたい気持ちでは作ってはいない、ただ、自分の作ったものが広まって1人でも多くの人のもとに届いてくれたら嬉しい」

この言葉を聞いた時、私は「あぁ、菅さんは根っからの発明家なんだな」と感じました。

発明家とは最先端のテクノロジーを駆使して研究し開発するような人のことだ、という自分の勝手な先入観を改めさせられた瞬間でもありました。自分の作ったものが誰かの「ああだったらいいな、こうだったらいいな」を実現する、これこそが菅さんが創る一つひとつの作品に込められた願いなのです。

さらに菅さんは、これまでの数多くの発明品の記録を一つひとつファイルに残しています。そのあたりにも、思いつきでは終わらせず、形にして積み重ねていく“生粋の発明家”らしさがにじんでいます。

雪カッターを手にする菅正さん

「何回も試作し、失敗を繰り返しながら完成した時が物を作っていて一番楽しい瞬間です」と、我が子のように可愛がる雪カッターを手に、楽しそうに話してくださいました。

日々の生活が少し、楽で豊かになる物を作り、人々の笑顔を作る。さて、次はどんな発明品が生まれるのでしょうか。

筆者(左)と発明品について楽しそうに話す菅さん

倉田隼人さんの投稿
※写真はすべて2026年2月22日筆者撮影

NPO法人こまちハート・オブ・ゴールド × ローカリティ! in 湯沢秋ノ宮

NPO法人こまちハート・オブ・ゴールド × ローカリティ! in 湯沢秋ノ宮

このプロジェクトでは、NPO法人こまちハート・オブ・ゴールドが、地域活性化に向けた事業連携の一環として、「ローカリティ!」とともに湯沢市秋ノ宮地区でワークショップを実施しました。
参加したメンバーたちは、地域の人々と出会い、イベントや地域の宝、人々の日々の営みを取材し、それぞれの記事を制作しました。その土地に何かしらの想いを持ったとき、そこは自分にとって大切なふるさとになります。参加者のフレッシュな視点で綴られた、価値が共感として広がっていく記事をご紹介します。

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