ローカリティ!時代の開拓者たち

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ITフリーランスの不安に向き合い、可能性を開く。想定を一歩超える伴走を事業に変えてきたギークスの原点【東京都渋谷区】

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ギークス株式会社(以下、ギークス)は、ITフリーランスと企業をつなぐIT人材事業を中心に、DX・AX(AIトランスフォーメーション)支援へと事業領域を広げている東証スタンダード上場企業です。

テクノロジーの急速な進展に伴い、企業のDXは業務効率化にとどまらず、AIを組み込んで変革を進める「AX」へと広がりつつあります。 一方で、国内におけるIT人材の不足は依然として大きな課題です。 同社はこれに対し、企業とITフリーランス双方に寄り添い、単なる案件紹介(マッチング)にとどまらない支援を続けてきました。

同社が掲げるグランドビジョンは「21世紀で最も感動を与えた会社になる」。代表取締役CEOの曽根原稔人(そねはら・なるひと)さんは、その「感動」を、相手の想定を一歩超えたときに生まれるものだと語ります。ITフリーランスの不安に向き合い、一人ひとりの可能性が開く瞬間に伴走してきた曽根原さんに、創業の原点とこれからの社会に必要な働き方について聞きました。

IT人材不足の時代に、ITフリーランスの力をつなぐ

ギークスの主力事業は、ITフリーランスと企業をつなぐマッチングです。新規サービスを世に送り出すこと、そして基幹システムの構築、さらには業務プロセスへのAI実装など、企業の変革において必要になるのが高度IT人材です。しかし、多くの企業にとって、必要なスキルを持つ彼らを自社だけで確保することは簡単ではありません。

一方で、ITフリーランスにも悩みがあると曽根原さんは説明します。

「ITフリーランスの方は組織に属していないので、自分の市場価値や仕事の獲得、将来のキャリアなどいろいろな悩みを持っています。私たちは偏らず企業とITフリーランスの双方の役に立ちたいと思ったのです」

ギークスは、企業に人材を紹介するだけでなく、ITフリーランスに対しても案件紹介やキャリア相談、健康診断・確定申告などの福利厚生サービスを提供しています。ITフリーランスが安心して長く活躍できるよう、一人ひとりのキャリアや生活を支える「メンター(伴走者)」としての役割を担っています。

目の前の「困りごと」から始まったITフリーランス事業

曽根原さんがITフリーランスの可能性に気づいたのは、2000年代初めのことでした。当時は、インターネットが日本でも広がり始めた時代です。まだ会社のホームページを開設していない企業もありましたが、ブロードバンドが普及し、これからインターネット関連のビジネスが伸びていく空気がありました。

曽根原さんは、ベンチャー企業の営業代行を手伝う中で、多くの企業が同じ課題を抱えていることに気づきます。

「とにかくエンジニアが不足している、エンジニアがほしいという企業が多かった。そこで、当時のインターネットの『掲示板』を活用しながらエンジニアを探したんです」

掲示板には会社に所属しないITフリーランスが多く、彼らは案件に参画しながら、契約期間終了後の次の案件を探さなくてはいけません。この課題に着目しました。

曽根原さんは彼らに「営業は私が引き受けるので、技術に集中してくれませんか」と提案し、企業には「課題を解決できる優秀なプロフェッショナルを紹介します」とアプローチしました。ITフリーランス事業は、壮大な戦略から始まったのではなく、目の前の困りごとに向き合う中から生まれました。

リーマンショック後、責任を持って引き受けた事業

曽根原さんは、2001年ごろに最初の会社を起業しました。当時はスマートフォンではなくガラケーの時代。着メロなどのモバイルコンテンツを開発する事業と、ITフリーランス事業の両方を育てていました。事業は成長し、2007年には上場を経験します。

しかし翌年、リーマンショックが起きました。特に打撃を受けたのが、ITフリーランス事業でした。

「一時的な金融ショックなので、5年10年続く話ではないと思っていました。どう考えてもインターネットの時代で、ITの人材は必要なので、業績を戻していけるという自信がありました」

事業環境は厳しくなっていましたが、曽根原さんはこの領域の可能性を信じ、売却される流れにあったその事業を自ら買い取り(MBO)、事業継続を決めます。それが、現在のギークスにつながる出発点となりました。

ITフリーランスが社会に必要とされるという確信があったからこそ、曽根原さんは苦境の中でもこの事業を手放さず、ギークスとして育てていく道を選びました。

想定を超えた先に生まれる「感動」を支援の軸に

ギークスが掲げるグランドビジョンは「21世紀で最も感動を与えた会社になる」です。このビジョンを達成していくために、曽根原さんが日々大切にしているのが「正しい順番でビジネスを行うこと」です。

「お客さまに対して価値を提供し、喜んでいただく。その『感動』の対価として後から発生するのが売り上げであり、利益です。この順番が大事だと考えています 」

曽根原さんにとって、事業の根本にはこの順番があります。

「期待通り(=想定内)のサービスは『満足』にすぎませんが、相手が言語化できていない潜在的な不安や課題を先回りして解決した時、初めてそれは『感動』へと昇華します。ギークスは常に、その『想定の一歩先』に立ち続けたいと考えています」

「感動」とは、大げさな演出ではありません。相手が言葉にしていない不安や課題をくみ取り、一歩先に手を差し出すことです。ギークスがITフリーランスに向き合ってきた支援は、まさにその考え方を事業として形にしたものでした。

案件紹介ではなく、不安に向き合うメンターとして

ITフリーランスの仕事は、自由である一方で不安も大きい働き方です。次の仕事はあるのか。将来も働き続けられるのか。ギークスは、そうした不安に「メンター(伴走者)」として向き合ってきました。

曽根原さんの記憶に残っているのは、かつて担当していたエンジニアとのエピソードです。

それは、沖縄から東京に出てきた20代のエンジニアでした。曽根原さんは、あるシステム開発会社の案件にマッチングし、サポートしていました。しかし、東京に出てきたばかりで右も左もわからず、現場の人とのコミュニケーションもうまくいかない。悩んだ末に、半年ほどで沖縄に帰ろうとしていたといいます。

そんな状況を知り、曽根原さんは彼を引き止め、東京での仕事に慣れるまでサポートしました。

結果、そのエンジニアは踏みとどまり、最初の壁を越えた後も経験を積み重ねていきました。東京で働き続ける道を自分のものにした後、「あの時、踏みとどまらせてくれてありがとうございます」と言ってくれたといいます。

案件を紹介するだけであれば、そこで関わりは終わっていたかもしれません。可能性が閉じかけた瞬間に、もう一歩進めるように伴走する。曽根原さんが語る「感動」は、こうした目の前の人に向き合い続ける現場の積み重ねの中にあります。

「出る杭」を讃え、社員一人ひとりの良さを伸ばす

ギークスには「10の心得」があります。その一つに「出る杭を讃える」という言葉があります。

「社員それぞれの良い部分を伸ばそうという考えで、あなたの良いところやいいアイデアが事業成長や営業成果に結びつくかもしれないというのが基本的にあります 」

また、曽根原さんは、会社からの指示を社員に一方的に押し付けるのではなく、一人ひとりが自分なりに受け取り、仕事の中で意味づけすることを大切にしています。

「働いている人たちが30~50人の時は、『行くぞ、これが目標だ』でもよかった。でも、事業が拡大したりグループ会社が増えたりしてくると、全員に同じ目標を持ってもらうというより、それぞれが会社のキーワードと自分をリンクさせて、自分なりの解釈で仕事をしてほしいと思うようになったんです」

会社に合わせるのではなく、個人が会社をどう活(い)かし、会社がその人をどう生かすか。曽根原さんの組織観は、一人ひとりの良さを伸ばすという「出る杭を讃える」の考え方にもつながっています。

変化を恐れず、時代に合わせて役割を広げる

ギークスは今、ITフリーランス支援にとどまらず、企業のDX・AX支援へと事業を広げようとしています。しかし曽根原さんは、10年後、20年後の未来を簡単には語りません。AIの普及スピードがあまりにも速いからです。

「今の時代、10年後、20年後といっても絶対にわからない。変わることを恐れずに、変わり続けられることが重要だと思います」

AIが浸透する今、ITに関わる一部の人だけでなく、組織全体でデジタルを使いこなす力が求められています。ギークスはこの変化に対応するため、2025年11月に「ギークス AIステートメント」を策定しました。自社の業務にもAIを取り入れながら、人とAIが共創する働き方を進めています。

ITフリーランスと企業をつなぐことから始まったギークスは、時代の変化に合わせて、自らも変わり続けようとしています。その姿勢は、企業のDX・AX支援へと事業を広げるうえでも土台になっています。

「21世紀で最も感動を与えた会社になる」

ギークスが掲げるこのビジョンは、一見すると大きな言葉です。しかし曽根原さんの話を聞くと、その「感動」は、目の前の一人に向き合うことから生まれているとわかります。

企業がエンジニアを必要としているときに人材をつなぐ。ITフリーランスが不安を抱えているときに、仕事や契約、将来の悩みに向き合う。壁の前で立ち止まっている人がいれば、もう一歩進めるように支える。

相手の想定を一歩超える支援を重ねることが、ギークスの事業になってきました。その伴走は、ITフリーランスの人生を支えるところから始まり、今では企業がDX・AXを進める場面にも広がろうとしています。 変わり続ける時代の中で、人と企業の可能性を開いていくこと。そこに、ギークスが目指す「感動」の形があります。


もっとも印象に残った言葉:
「お客さまに対して価値を提供し、喜んでいただく。その『感動』の対価として後から発生するのが売り上げであり、利益です。この順番が大事だと考えています」

聞き手:丸山夏名美 書き手:天野崇子
※写真はすべて2026年6月15日丸山夏名美撮影

企業情報

会社名:ギークス株式会社
取材対象者:代表取締役CEO 曽根原稔人さん
設立年月:2007年8月23日
グランドビジョン:21世紀で最も感動を与えた会社になる
事業内容:IT人材事業(国内)、IT人材事業(海外)、Seed Tech事業を展開。事業モデルを「人材を繋ぐ」から「企業の課題を解決する」へとアップデートし、単なる人材マッチングを越え、日本企業のAI実装を加速させるAXソリューションを提供しています。 
所在地:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア39階(WeWork内)
URL:https://www.geechs.com/

天野崇子

天野崇子

第1期ハツレポーター/1968年秋田県生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入って30余年。

ローカリティ!編集部のメンバーとして、みなさんの心のなかのきらりと光る原石をみつけて掘り出し、文章にしていくお手伝いをしています。

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