3月3日、和歌山市加太の淡嶋(あわしま)神社で現世の穢(けがれ)や災厄(さいやく)を人形に祈りをこめ、流し送る行事「雛流し」が行われました。筆者は和歌山に移住して20年になりますが、行事への参加は今年が始めてです。
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全国各地から奉納された雛人形と願い事を書いた形代(かたしろ)を3隻の白木の舟に乗せて海に流す神事「雛流し」
雛流しの由来は中国。3月3日に川や海に出て災いや穢(けがれ)がないように祓いの儀式を行う風習があり、それが日本に伝わったとされています。
淡嶋神社は婦人病や子授けの神社として有名で、全国からもう飾らないなどの理由で使わなくなったお雛様が奉納されています。
そのお雛様たちに「病気がなおりますように」などというお願い事を形代にかき、海へながしていきます。
入り口から賑わう淡嶋神社
行事の開始1時間くらい前に淡嶋神社に到着すると、神社はいつもより多くの人でにぎわっています。12時が近づくと観光客や地元の人たちがたくさん集まり人混みになりました。雛流しを楽しみにしている人が多いことを感じました。
12時10分頃、白木の船に雛人形を巫女さんが一体一体乗せていきます。
船に乗ったお雛様を海へ
雛人形を船に乗せる神事が終わったあと、その場にいた女性達は、雛人形たちを500メートルほど離れた海の桟橋まで運びます。「女性のみなさんは交代してあげてください」という呼びかけを合図に、参加者達は3つの船を交代しながら運びました。
とにかく、重い!でも、協力して運ぶから楽しめるお雛様がのった船
「船が重いのでかわってあげてください」とスタッフが声をかけています。その声に合わせ、筆者も雛人形を運びました。船にのったたくさんの雛人形を運ぶ体験は初めてでしたが、本当に重かったです。しかし、周りの人たちと交代しながらなので連帯感が生まれとても楽しい体験でした。
早春の晴れた日に「これを楽しみにしてきたの」という観光客の方や地元の人達との自然な交流に出会い感動しました。
海のかなたへお雛様たちを送る
女性たちがお雛様を海まで運び終えると地元の人達や宮司さんたちがお雛様を海のかなたへ流す儀式をします。筆者も「がんばって運んだお雛様たちが海へ」と思うと胸が一杯になりました。お雛様たちの出発です。筆者もドキドキ。
巫女さんが花ふぶきを巻く中お雛様たちが出港です。
地元の幼稚園の子どもたちが「ひな祭り」の歌を歌う中、お雛様たちは海の彼方へとたびだちます。