「ホッケと聞いてパッと思いつく料理といえば?」と問われたら「ホッケの開き!」と即答していませんか?筆者もこの料理に出会うまでは「開き」と答えていましたが、これからは「ホッケの◯◯」と答えたい一品に出会ってしまいました。その料理こそ今回ご紹介したい一品です。
ホッケと花のベストシーズン、水揚げされた日に1日5食限定。超満員の食堂で提供される一品
日本最北端の地である稚内市から約2時間、船に揺られると、島内に約300種類もの高山植物が生息することから「花の浮島」の別名を持つ、礼文島に到着します。
船を降りて、早速観光へ行きたいところですが、今回紹介したい一品があるのは、なんと船を降りた香深港フェリーターミナルの2階にあります。
アクセス抜群の立地にある、そのお店こそ1日5食限定の一品が出てくる「武ちゃん寿司」です。
11時のオープンと同時に人が殺到し、12時を回る頃には席の空きを待たないと入れないほどの人気っぷり。それもそのはず。ホッケのシーズンにも被っている6月前後は「花の浮島」の名の通り、花は咲き乱れ、バフンウニやキタムラサキウニなどの海産物も旬を迎えます。それらを目当てに、礼文島を訪れる人が殺到するのです。
女将が考案。早朝水揚げされた旬のホッケだから実現する、ふわふわで脂の乗った蒲焼
さて、店外の看板にしかメニューの記載がされていない1日5食限定の「ホッケの〇〇」はというと、武ちゃん寿司の女将、柳谷郁子(やなぎや ・いくこ)さんが考案した「ホッケの蒲焼丼」です。通常メニューに記載されていない理由は「ホッケが旬を迎える時期で、早朝に水揚げされた時にしか作れない」から。そんな幻の一品、早速いただきます。
「うなぎの蒲焼をイメージして考案した」というホッケの蒲焼に箸を入れると、茶色いタレをまとった衣の間から白い湯気が上がり、白くふわふわした身が現れます。「旬」の名を我がものにした脂が乗り切ったホッケに甘辛い衣。言わずもがなのお味です。
蒲焼丼は地層のように、炊きたての白米、昆布、ホッケの蒲焼、しそと重なり、見事なチームワークを組んでいます。上に乗ったシソが爽やかさを、ホッケの下の昆布はアクセントとなり、白米を食べる箸が進むのなんの。最後に皮目でご飯を巻き、思いのままに口に頬張る。この至福はどう頑張っても、1日5人までの幸福なのです。
日本最北の離島・礼文島。ホッケの旬に合わせて来島し、幻のホッケの蒲焼丼を味わった後「ホッケと聞いてパッと思いつく料理といえば?」と聞かれたら、答える料理が違ってくるはずです。
情報
武ちゃん寿司
〒097-1201 北海道礼文郡礼文町香深村字尺忍
香深港フェリーターミナル2階
(0163)86-1865