うさぎは食べ物〇〇に似ているうさぎの味【秋田県大仙市】

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うさぎ正肉200g 900円(税込)ハピー農場内の直売所で販売している(2003年6月7日撮影)

秋田で100年以上にわたって食べられているジャンボなうさぎのお話

秋田県南部地域では100年以上前から、「食べるため」にうさぎを飼育し、大型の「中仙ジャンボうさぎ」という秋田県特有の品種に改良を重ねてきた歴史がある。

大仙(だいせん)市中仙(なかせん)地区ではその歴史を後世に残し、さらに品質改良を進め全国的な普及を図るために毎年「全国ジャンボうさぎフェスティバル」というイベントまで開催している。

気になる「うさぎ肉のお味」のレポートとともに、なぜ秋田でウサギが食用として食べられるようになったのかということを調べてみた。

うさぎ肉の味は、鶏肉に似ていて脂身はミルクのような上品な風味

大仙市内にはうさぎ肉を販売している場所がいくつかある。そのうちのひとつが大仙市協和峰吉川(みねよしかわ)にある有限会社ハピー農場だ。

ハピー農場の社長、吉川周平(きっかわ・しゅうへい)さんによると、現在1300羽のジャンボうさぎを飼育し、農場内で屠殺から食肉加工、販売までを行なっているそうだ。

昔、筆者の祖父が好きでよく食べていたのを思い出し、ハピー農場の直売所で冷凍のうさぎ肉とうさぎのレバーを買い求めた。

お店の方に聞くと、正肉は鍋などの煮物、特に味噌味が合うのでオススメだという。まずは素材の味を活かすために薄目の味噌煮にしてみた。

※筆者調理のうさぎ肉の味噌煮(2023年6月7日撮影)

食べ応えは鶏肉に似ているが少し弾力がある。臭みがなく脂身の部分は、ミルクのような風味がある。味噌の香りと相まって、なんとも上品な風味である。

次は焼き鳥ならぬ「焼きうさぎ」。

うさぎ肉を串に刺す(2023年6月8日撮影)
筆者調理の「焼きうさぎ」(2023年6月8日撮影)

こちらも調味料は控えめに、塩コショウのみで焼き上げた。鶏肉のように淡白でありながら、脂身のコクが口の中に長くとどまり、なかなかの美味しさだ。

(左上)うさぎレバー150g・350円(税込)と(右上・下)筆者調理の「うさぎレバー串」(2003年6月9日撮影)

レバーも同じようにして調理し食べたところ、レバー独特のクセが少なく、舌触りは豚のレバーよりもなめらかに感じられ、これもやはり上品でとても美味である。

農村の危機を救ったうさぎ うさぎが食べられるようになった理由

なぜ、大仙市中仙地域で食用のうさぎの飼育が盛んになったのかということを大仙市中仙支所「全国ジャンボうさぎフェスティバル」実行委員の高橋宏範(たかはし・ひろのり)さんに伺った。

「うさぎの飼育は1899(明治32)年ごろに始まりました。当時、秋田県南部地域に米作りの技術指導に来ていた方が農家の食生活の状態の悪さを憂い、その改善のため家畜として、手軽で飼いやすく、なおかつ栄養価も高いことが理由で勧めたのがうさぎだったのだそうです」

当初から食肉用や毛皮用として重宝され、鍋の材料や焼き鳥のようにして食べられ地域で愛されたとのこと。

そして、特にこの中仙地域では県の協力も得てうさぎの品種改良に取り組み、「中仙ジャンボうさぎ」という秋田県特有の品種に改良してきたという歴史があるのだそうだ。

体重は10キロ超え!体長が55㎝にもなるジャンボなうさぎのお祭り

ジャンボうさぎ品評会の様子(高橋さん提供)

ジャンボうさぎは大型の品種のものをかけあわせ改良を重ねてきたので、大きなものになると体重が10キkgを超え、体長(両耳の付け根からしっぽの付け根までの長さ)も55㎝を超えるなど一般的なうさぎの数倍のサイズになる。

「全国ジャンボうさぎフェスティバル」ではうさぎの品評会が行われ、大きさ・毛並み等が審査される。

うさぎ体重当てクイズやうさぎプレゼントゲーム、うさぎとのふれあいコーナーやうさぎ肉を具材にした鍋が振る舞われ、2日にわたって10,000人もの人が訪れる人気のイベントになっているそうだ。

毎年10月中〜下旬に開催されるので気になる方はぜひおいでいただきたい。

うさぎ飼育農家が減少、ジャンボうさぎ消滅の危機! どうなるジャンボうさぎ

「そもそもうさぎ肉という食肉市場がないため、安定した収益につながらないという理由で、うさぎの飼育農家は減っていて、ジャンボうさぎは消滅の危機に瀕しています」と高橋さん。

そこで大仙市では、新たなうさぎ飼育農家を増やすために、飼育のためのケージの貸し出しや飼育方法の指導や、安定した市場を目指すための特産品のメニューの開発なども行なっているそうだ。

高橋さんは「うさぎ肉はとても美味しく栄養価が高いので、地元の飲食店等で工夫を凝らしたメニューを提供していただき、たくさんの人に認知を広め、特産にしていきたい。そして、フェスティバルを通し、ジャンボうさぎの歴史を後世に残していく活動をしていきます」と話す。

文化庁が取り組みを推進する「100年フード宣言」という、地域で受け継がれ愛されている食文化を掘り起こし、100年続く食文化として継承することを目指す取り組みに、令和3年度「ジャンボうさぎ料理」が認定されている。

「ジャンボうさぎ料理」が文化庁の「100年フード」に認定されました

これもひとつのきっかけとして、ジャンボうさぎが全国各地に「跳ねる」ことを期待したい。

たいせつな命をいただく

私は子供のころ、とても可愛がって飼っていたうさぎがいた。それを思い出しその姿を想像してしまうととても食べる気分にはならないのが正直なところ。

だが、それを言ってしまえば、鶏や豚や牛も、「肉」として販売されているものは皆同じことだ。その命をいただき、美味しさを味わい、豊富な栄養素に支えられながら私たちは生きていることにもっと感謝しなければいけない。

100年以上前のこの秋田に、農民を救ったウサギたちがいたという歴史を知り、うさぎだけではない、命あるものをいただくという行為をますます大切にしようという気持ちになった。そして、かわいいだけじゃない「美味しい」うさぎが秋田にいる、ということを県民だけではなく、もっとたくさんの人にも知ってもらいたい。

情報

【有限会社 ハピー農場】
住所:秋田県大仙市協和峰吉川半仙29-39
電話:018-895-2227
※インターネットでは楽天市場内の【産直むすび】様に販売委託しているhttps://item.rakuten.co.jp/musubi-lb/akhn311/

天野崇子

天野崇子

秋田県大仙市

編集部編集記者

第1期ハツレポーター/1968年秋田県生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入って30余年。

ローカリティ!編集部のメンバーとして、みなさんの心のなかのきらりと光る原石をみつけて掘り出し、文章にしていくお手伝いをしています。

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