私は兵庫県丹波篠山市の隣町・丹波市で絶滅危惧種の淡水魚、ホトケドジョウの保護活動をする団体「ホトケドジョウを守る会」に参加しています。ホトケドジョウの保護活動をしつつ、1960年代に絶滅したとされるミナミトミヨの生息調査も行っています。
兵庫県から京都府の内陸部を南北に貫く、細長い低地帯である氷上回廊(ひかみかいろう) は高い山を登らなくても太平洋側と日本海側を行き来できることから、恐竜やその他の古代生物の通り道になっていました。その回廊の存在がこの地方独特の生物相を作り出しています。淡水魚に関しても、同じ理由でこの地方にだけ北方(シベリア)系の種が残存する地理的要因になっていた証拠が存在します。
北方系淡水魚でありながら、丹波地方にポツンと生息していたミナミトミヨは 1960年代に開発や農薬の使用により生息地が荒らされてしまい、人知れず姿を消してしまった魚とされています。しかし、絶滅が完全に確認されたわけではないので、彼らの生息環境はホトケドジョウのものと被(かぶ)ることもあり、活動の際は、その都度ミナミトミヨのことも念頭に置きながら生息調査を行っています。
ー級河川である加古川水系の湧水や細流に生息していた魚なので、本流がある丹波市だけでなく、その水源がある丹波篠山市内にも生息する可能性は捨てきれないので、並行して調査を続けています。
東北地方の田沢湖固有種だったサケ科の魚であるクニマスは、水質が急速に酸性化したことにより現地では70年以上前に明らかに絶滅してしまったのですが、富士五湖の一つである西湖に田沢湖から魚を移入した経緯があることから、タレントで東京海洋大学客員教授のさかなクンが調査をしたところ、どっこいクニマスも生き残っていることが確認され大きなニュースとなりました。
淡水魚の絶滅というのは、生息地が確実に限定されるものではないため、なかなか断定することが難しいところがあるので、今後も希望を捨てず、再発見を目指したいと思っています。
椛澤 弘之さんの投稿