沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。
いもともや食品加工所は沖縄県宮古島市でサツマイモの餅菓子を中心とした加工食品の製造・販売を行っています。宮古島の畑で採れた新鮮なサツマイモを加工し、素朴で優しい味の加工品を提供しています。
今回はいもともや食品加工所の代表である上里正子(うえざと・まさこ)さんに創業の背景やサツマイモの加工に対する思いを伺いました。
目次
身近な存在だった「サツマイモ」を加工品として販売したい
いもともや食品加工所は2012年に現在の代表である、上里さんが創業しました。
「創業をする前までは飲食関係の仕事をしていました。ふと、これからの人生を考えることがあって、その時に思いついたのが『焼き芋屋』でした」。
上里さんの実家は農家で子どものころから農作業のお手伝いを行っていたそうで、「芋を洗う」という作業が家族の中での上里さんの一つの役目だったといいます。
「子どもの頃からお芋にはなじみがあって、身近な存在でした。そして、焼き芋屋であれば初期投資が少なくできると思ったんです」と、上里さんは話します。
上里さんは焼き芋屋として事業をスタートしましたが、現在の事業は加工がメイン。その理由を伺うと「芋を仕入れる時に、どうしても形が崩れたり傷ついたりしてしまって焼き芋にはできない芋があり、カットをして天ぷらで販売をするようになりました。そこからいろんな加工品をつくるようになり、現在では加工品の製造と販売がメインの事業となりました」と、話してくれました。
「せっかく大切に育てたものを捨てるのは悲しい」
最初は焼き芋屋として始まり、天ぷらなどのお惣菜を販売し、現在は業務用ペーストや、紅芋甘糀、3種類の芋餅などの加工品を製造・販売をしていると言う上里さん。その理由を伺うと「せっかく大切に育てた作物だから捨てるのは悲しいんです」と、話します。
最初に加工品として売り出した天ぷらなどは賞味期限が短く、売れなければ捨ててしまうこともあったと言います。そのような経験から、なるべく日持ちのするものを作ることを大切にしているそうです。
「力を入れて開発したのは『芋八餅(いもはちもち)』です。餅皮の約8割がサツマイモで出来ています。そのため、一般的な餅よりもかみきりやすく小さな子供からお年寄りまで幅広く楽しめる商品ですし、冷凍だと賞味期限は180日です」。
農作物の寿命を伸ばし、価値を上乗せできること
「大切に育てたものを捨てるのは悲しい」という思いから加工品に力を入れている上里さんですが、サツマイモの加工を通して農業の価値を高めていきたいと話します。
「最近は農業を取り巻く環境は厳しいですが、もっと農家さんが稼げるようになれば、台風や獣害があったとしても島の農家さんが農業を続けていけるようになるのではないかと思っています。だからこそ、加工所という売り先があるということは農家さんにとってもモチベーションのアップにつながると思うんです」。
一般的に農作物は形がよくなかったり傷があると売れないことが多いですが、加工品であれば多少の傷があったとしても使用することができます。そのため、農作物を加工できる事業者が農家さんの売り先になり、農作物の寿命を伸ばし価値を上乗せすることが加工所の役割と言えます。そして、農家さんの所得が増え、農業としての価値が高まることを上里さんは目指しているそうです。
そのような思いから作られる、いもともや食品加工所のたくさんの商品。ぜひ、宮古島を訪れ、楽しんでみてはいかがでしょうか。