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早かった春が終わり、夏の足音が聞こえてくる時期となりました。青森の津軽地域からリンゴの花見が始まったとのニュースが流れてきましたが、今回は山形県南部に位置する米沢市でこの時期に旬を迎える伝統野菜をご紹介します。
「ウコギ」です。
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目次
ウコギって何?
某テレビ局の「秘密のケンミンショー」で、山形県民が食べる生垣として取り上げられたのが今回紹介する”ウコギ”です。この植物にはトゲがあることから、米沢ゆかりの武将・直江兼続公は敵襲対策として“ウコギ垣”を、また、米沢藩第9代藩主・上杉鷹山公は害獣除けや防虫対策として植栽を奨励したと言われています。
現在でも米沢市内では個人宅だけでなく、道路の垣根としても見ることができるありふれた植物です。
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垣根を美味しく食べちゃいます!
米沢市内のあちこちで見かけるウコギですが、実は春から初夏にかけて出る新芽は食用となります。旬がちょうど八十八夜の時期と重なるので、さながら茶摘みならぬ“ウコギ摘み”と言ったところでしょうか。
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垣根に生えている新芽を摘んで食べるという習慣はなんだか滑稽にも思えてしまいますが、採ったウコギはそのまま茹でておひたしにしたり、細かく刻んで混ぜご飯の具にしたり、また、天ぷらなどで食されています。山菜のひとつとして有名なフキノトウに似たほんのりとした苦みがくせになり、私も大好きな春の野菜です。
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ウコギにまつわるローカルルール
米沢市民の暮らしに古くから息づいているウコギですが、上杉鷹山公が主食の代用食として栽培を奨励したこともあってか、この地域ならではのローカルルールが存在します。それは「他者のウチのウコギの新芽は取っても良い」というもの。言い方を変えれば、自分のウチのウコギを取っている人を見つけても怒ったり文句を言ったりしない、という暗黙のローカルルールです。
「人のモノは取っちゃダメ!」というのが常識なので最初はドキドキしながらですが、次第に慣れてくると道路に車が何台走っていようとも気にせずに「ウコギ摘み」ができるようになります。
米沢のウコギに限ってはこのローカルルールが代々守られていることで、地域全体が食糧不足に陥らないようにした知恵なのかもしれませんね。
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さて、城下町米沢の歴史的遺産として息づいている伝統野菜「ウコギ」。米沢市民にはこの伝統野菜をスーパーで買う習慣がないので、野菜コーナーで見かけることもありません。食べても良し、垣根にも良し、一本で二度“オイシイ”ウコギに興味を持った方は、ぜひ米沢でこのウコギを購入して、自宅で育ててみてはいかがでしょうか?