〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
目次
ものづくりのまち・大東市に飛び込んだ、段ボール会社の京阪紙工
大阪府の東に位置する大東市。地元の高校野球の強豪校、大阪桐蔭が甲子園で活躍するたび、その地の名が全国に知られていきます。
製造業が盛んで、隣接する東大阪市に負けず劣らずの「ものづくりのまち」でもあります。市内には、ネジやバネといった細かい部品から家電などの大型製品までを手がける会社が数多く残っています。
業務用段ボールの製造・販売を手がける京阪紙工(けいはんしこう)株式会社が、ものづくりのまち・大東市に本社を移転したのは、創業から17年がたった平成10年(1998年)のことです。
段ボールを必要とする取引先は全国にいます。高速道路があって交通の便が良く、遠方の取引先にも駆けつけることができる大東市はうってつけの場所でした。
父の縁から生まれた会社の強み「強化段ボール」は“木箱並み”
京阪紙工が得意とするのが、通常の段ボールとは異なる「強化段ボール」です。作れる会社は全国でも限られています。
具体的にどういうものなのか。作ることになった経緯と合わせて、代表取締役の住谷正司(すみたに・しょうじ)さんに聞きました。
「強化段ボールに使う素材を作るメーカーは国内に2社しかありません。そのうちの1社に、前の代表取締役である父が務めていました。そこから父が独立し、段ボール箱を作る会社を立ち上げたため、元々務めていた会社から強化段ボールの材料を仕入れることができたのです。こうして、日本でも限られた強化段ボールの会社になりました」。
強化段ボールは2層のタイプと3層のタイプの2つがあり、3層構造の場合、通常の段ボールの7倍の強度があるといいます。
住谷さんによると、これは木材と同じくらいの強度で、頑丈で潰れにくいため、通常の段ボールだと運べないような重たいものでも運ぶことができるといいます。さらには水も染み込みにくい構造となっていて、まさに「木箱の代わりになる段ボール」です。
@プロジェクト、あっと驚く「他が真似できない」段ボール商品を
この強化段ボールを企業向けではなく、一般の人向けに役立てたいとして8年前から始まったのが、「@(あっと)プロジェクト」という商品開発の取り組みです。
プロジェクト名には「あっと言う間に、あっと驚く製品を届けたい」との思いが込められています。
住谷さんが発案し、名前も考えたという商品は、どれも簡単に組み立てられるようになっています。災害時のポータブルトイレとして使える「@トイレ」や、人が乗っても壊れないステージ代わりの「@ステージ」、それに、コロナ禍で自宅にこもりがちな人も立ち上がってその場でストレッチができる踏み台「脚軽〜ル(あしがーる)」など、実用的で面白く、段ボールでできていることを疑ってしまう商品を次々と生み出しています。実現できたのは、強化段ボールという素材と技術があったからです。
「世の中にないものを作りたい。他の段ボール屋さんが真似できないもの、この世に一つだけというものを作ることを目指しています」と住谷さんは言います。住谷さんのその思いが、今後も、新たに開発される「あっと驚く」商品へと注がれていきます。