〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
目次
果物と向き合い続けて130年、お客様と果物思いの事業展開
瀬戸大橋のつながる街・香川県坂出市(さかいでし)に130年以上続く果物専門店があるのを、皆さんはご存知でしょうか。
その名も、有限会社北浜商店。創業前からみかんの山を所有していたり、バナナの色付け加工を行っていたりと果物にご縁があったことや、当時の家が商いにぴったりな商店街のど真ん中にあったことを活かし、1892年に創業しました。
贈答用の立派なフルーツから、食卓に彩りを添える果物まで、小売から始まった北浜商店。「ただおいしい果物を届けたい」「多くの人を果物で笑顔にしたい」という純粋な思いを代々受け継ぎ、現在、5代目の代表・北濱治将(きたはま・はるまさ)さん(39歳)と、若手ホープの寺井颯真(てらい・そうま)さん(23歳)のタッグによって、多様で「おいしい」事業が展開されています。
たとえば、ランチやカフェタイムに地元客・観光客問わず賑わう飲食店の「はまきた珈琲」や「PonPon Kitchen&Cafe」は、訪れる人の五感に訴えかけるようなものを提供したいと試行錯誤を繰り返した結果、生まれた事業です。多様なメニューの中では、その日の朝に市場で寺井さんたちが厳選したフレッシュな旬のフルーツをたっぷり使ったスイーツが、ひときわ目を引きます。
「果物の可能性を伝えたい」という5代目の強い思いが、こうしたカフェの開業やふるさと納税への参入といった新しい取り組みへと、北浜商店を導いてきました。
選果は一日にして成らず、日々の研鑽と歴史はおいしい果物へ通ず
果物のおいしさに欠かせない基準として、北浜商店は鮮度と選果を大事にしています。5代目の北濱代表と寺井さんは、ほぼ毎朝6時半に市場に出向き、採れたての旬な果物たちと向き合います。競りが始まるのは7時過ぎからですが、その前に果物たちの状態をチェックし、仕入れの目星をつけるのだそう。
寺井さんは2年ほど前から、北濱代表について市場での選果を実践しています。「おいしいものを見分ける以外にも、品種ごとの特長や成り立ちの家系図とかも覚えないかんですし、時期によって出回るものも変わるんで。まだまだ勉強中です」と、控えめに話します。
果物の競りは、オークション形式の競り上げではなく、買いたい事業者が一斉に価格を提示し、その中で一番高い額を掲げた人が競り落とせる仕組みになっています。北浜商店は、130年を超える「相場感」の蓄積から、狙った果物は寺井さんの感覚だと勝率80%で競り落としているとのこと。
さらには、市場との長い付き合いで培われた信頼関係のおかげで、「お客様からご注文いただいたものは、うちやったら絶対揃えられます」と豪語する寺井さん。季節や天候によって仕入れ状況や品質が左右される果物ですが、選果の腕前と歴史のおかげで、北浜商店には鮮度抜群のおいしい果物が必然的に集まってくるのです。
「ほんまにおいしい」香川の果物、プロと一緒に選ぶ贅沢を
「最近、僕に直接(果物選びの)相談してくれるお客さんが増えたんです。お客さんにも選果方法をお教えしたりしてて。専門店なんで、お客さんにちゃんとおいしかったって言ってもらわんと。香川で果物買うんやったらうちしかないって思ってもらいたいですね」。
果物屋としての矜持を滲ませながら話す寺井さんは、「はまきた珈琲」に併設された果物ショップ「くだもの畑PonPon」を5代目とともに立ち上げ、現在店長を務めています。輸送にかかる日数や時期を計算した進物の提案をしたり、用途や予算に合わせたカットフルーツの盛り合わせを提供したりと、お客様のニーズに応える姿勢が研ぎ澄まされています。
さらに寺井さんは、「あとはやっぱり、香川県産のフルーツのおいしさを知ってほしいですね。僕はほんまに日本一やと思います」と加えます。瀬戸内エリアではその気候からおいしい果物が育つことで有名で、岡山・愛媛・広島といったブランド力のある産地が軒を連ねていますが、プロの果物屋が贔屓目なしに見ても、「岡山のお客さんも悔しがるくらい」香川県産はおいしいのだそう。「騙されたと思って食べてほしい」と、寺井さんは笑います。
鮮度・選果・接客という三本柱を大切にする老舗専門店が目利きした、「ほんまにおいしい」香川の旬のフルーツたち。この機会にぜひ取り寄せてみてはいかがでしょうか。そうするとあら不思議、それを食べた翌週には、もっと贅沢なフルーツ体験ができる北浜商店に足を運んでしまうかもしれませんよ。