「砂の女」の巨大アートが住宅と住宅の間に!?アートなまちに生まれ変わった北加賀屋【大阪市住之江区】

2 min 1,071 views

大阪市南西部に位置する住之江区北加賀屋。大正時代には造船業で栄え、工場や倉庫が立ち並んでいた。現在は住宅やお店、小さな工場、空き地などが入り乱れた、いわゆる下町である。その北加賀屋一帯が、今アートなまちに生まれ変わっている。住宅と住宅の間に現れるアート作品、壁に描かれたウォールアートの数々。いかにアートなまちなのかを取材した。

北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想

大阪で明治時代から不動産事業などを展開する千島土地株式会社は、北加賀屋地区に約23万㎡の経営地を所有している。
北加賀屋一帯は大正時代から造船のまちとして栄えたが、徐々に衰退。空き家や空き地も増加し、高齢化が進むという課題に直面した。そこで、地域の土地を所有する不動産会社として、北加賀屋の活性化の取り組みをはじめることとなった。現在、アート関係者など様々な人と協力し、北加賀屋を芸術文化の集積する創造的エリアへと変えていく「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」に取り組んでいる。

まさか、こんなところに!路地を曲がると「砂の女」

住宅と住宅の間、駐車場の裏の空地に「砂の女」の像が突然現れる。妙に風景にマッチしたような、はたまたあきらかな異物感がアートさを増すような感じである。

この作品名は「FOREIGIN MATTER: ‘Sand in woman’」(異物:砂の女)

2023年3月から6月に大阪市北区で行われた「うめきた広場大階段アートプロジェクト」で展示されたもの。アーティストR E M A氏のセルフイメージを使用した作品で砂型3Dプリンターの応用により制作されたものである。

思わずカメラを向けたくなる、ウォールアートの数々

©Photo by Kenichi Yamamura

北加賀屋一帯には、約30点のウォールアートが至るところに描かれている。(2024年4月時点)思わずカメラを向けたくなる、ウォールアートの数々。「あ、あった」「また、あった」と次々に現れ、楽しませてくれる。

砂の女から20メートルほど移動すると、イギリスのアーティスト、ドットマスターズの作品が描かれている。見に来た人が、ウォールアートの一部になって写真を撮りたくなるような作品である。

その裏の壁にはフランス出身で、現在は東京を拠点に活動するアーティスト・Jeremy Yamamuraによる作品。作品に度々登場するアイコニックな犬のキャラクターが、壁一面に描かれている。

イベントやライブ会場として使われるクリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)、100メートルの防潮堤壁面に描かれた壁画。建築家、ストリートアーティストとして活躍するギリシャ出身のb.の作品。道路には大型トラックなどが行き交う。

驚きながらも好意的に。地元の人もアートに親しむ。

「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」に取り組む、千島土地の広報・宇野好美さんに話を聞いた。「少しずつ壁画や立体作品が増えてきていて、現在約35点のアート作品が並んでいる」と話す。地元の方も、アートがある、アーティストがいるという環境に慣れ、今ではアーティスト活動をしている人を見かけると差し入れをする方もいるんだそう。

「2024年に入って展示した「砂の女」はアートに慣れた地元の人も、さすがに驚いていた。地元の小学生もこぞって見学をしていた」と笑って話します。

実は筆者の地元は、何を隠そう北加賀屋である。実際に目の当たりにするまで「北加賀屋がアートなまちって、んなアホな」と、半信半疑だった。

でこぼこしたコンクリート、家の前に並ぶ錆びた自転車、コケの生えたブロックは数十年前から変わらないが、その中に突然見たことのない、あっと驚くようなアート作品が現れる。

筆者は笑ってしまった。アート、アートしていておしゃれすぎると恥ずかしいが、変わらないまちと合体しているのがオモシロおかしい。

地元が新しい魅力を持ったことを嬉しく思う。北加賀屋のまち並みと最新アートの融合にこれからも期待したい。

https://chishima-foundation.com

写真(3枚目は除く)は2024年3月筆者撮影

田口有香

田口有香

長崎県壱岐市

校閲記者兼コミュニティマネージャー

第4期ハツレポーター/ライター兼農家の嫁であり、3人の子どもの母。生まれ育った大阪から壱岐島に家族で移住。
壱岐島は長崎県の離島ですが、福岡から高速船で65分という抜群のアクセス!!海がきれいなのはもちろん、お魚もお肉も野菜も米も焼酎もそろっておりグルメも自慢できます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です