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須賀川市民にとって、7月14日は特別な日。それは、平日も週末も関係なく、260余年前から毎年この日と決められている「きうり天王祭」が行われる日だからだ。
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きうり天王祭は、須賀川市の特産品であるきゅうりを供え、無病息災を願う伝統行事。毎年多くの家族連れでにぎわい、夏の風物詩として親しまれている。
今年のきうり天王祭はあいにくの雨模様だったが、会場に足を運んだので、その様子をお伝えしたい。
きゅうり天王祭の歴史と起源
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祭りの起源は古く、約260年以上前まで遡ると言われる。当時、この地方を疫病が襲った際、人々は旭ヶ岡にある岩瀬神社に祈願し、きゅうりを供えたところ、疫病が終息したと伝えられている。
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それ以来、年に一度、市内南町にある東北電力ネットワーク須賀川電力センター前の広場にお仮屋を建て、きゅうりを2本あげて供えてあるきゅうりを1本もらって帰る「きうり天王祭」が開催されるようになり、五穀豊穣や無病息災を願う人々でにぎわうようになった。
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祭神である牛頭天王(ごずてんのう)は夏詣などでおなじみの茅の輪(ちのわ)の起源となった説もあり、雨や水に由来するとのいわれもある。
須賀川名物の岩瀬きゅうり
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須賀川市はきゅうりの生産量が全国でもトップクラスで、岩瀬きゅうりを使った様々な加工品も販売されている。きうり天王祭を訪れた際には、ぜひ新鮮なきゅうりやお土産を購入するのも楽しみにひとつだ。
夏の須賀川を代表するこの祭は、地域の人々の絆を深め、伝統文化を守り続けていく大切な行事だ。来年の夏は、ぜひ須賀川を訪れ、きうり天王祭の熱気と伝統を体感してみてはいかがだろうか。