皆さんはいわゆる古武術の演武を歴史ある寺院の境内でご覧になったことがありますでしょうか?
兵庫県の丹波地方には、仏の道を追求する僧や、武術を究める人物たちが修行をした地が散在しています。
11月10日午前、気持ちよく晴れた日、私が住む丹波篠山市から隣町である丹波市氷上町の、紅葉の岩山に挟まれた渓流沿いにある岩瀧寺(がんりゅうじ)まで車を走らせました。
大阪府在住で無外流の居合(いあい)を幼少よりたしなむ自動車愛好仲間である友人・辻村洋介さんが近年、浅山一伝流の稽古も始め、「淺山一傳流武者組研究会御一門」のお仲間がその地で演武を奉納するとのしらせに取材に赴きました。
また今回は以前の災害で流された『浅山一伝斎壁書再建除幕式』も行われました。
そのお寺は、寛永の御前試合で勝ちを得、仙台藩から鹿児島藩まで二十余藩に伝承されたという浅山一伝斎が修行をし、悟りを開いた「浅山一伝流兵法」開祖の地であり、それは現在の警視(庁)流にも受け継がれています。
立派な山門を潜り美しい紅葉の中で演じられる居合、剣術、小太刀(こだち)、體術(たいじゅつ)、鎌術(かまじゅつ)、杖術(じょうじゅつ)など一連の演武を初めて拝見しました。
わたしの背筋も知らず知らずのうちに伸びるような張り詰めた清透な空気に、自分も同じ武家の家に生まれた日本人であることを不思議と再認識させられ、心が洗い流されたような気がしました。
居合や剣術といった武術とは無縁の生活をしている私のような者にとって、間近でこのような凛(りん)とした美しい演武を拝見できたことは、とても希少な体験であり感謝の思いで帰路につきました
なお、演武された境内より少し登ると独鈷(とっこ)の滝や浅山不動尊が有ります。それも又素晴らしいのですがそちらまでお出かけの際には足元の良い靴をご準備下さい。
※写真は全て2024年11月10日筆者撮影