国宝・松本城と旧開智学校、街角レトロを“撮って歩く”松本建築さんぽ(後編)【長野県松本市】

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松本城

重厚な「松本城」と、ちょっとキッチュなデザインの「旧開智学校」という二つの国宝がある、長野県松本市。北アルプスに囲まれ、さまざまな時代の建築と文化が息づくこの美しい街を、カメラを持って一泊二日の旅で訪れました!

一日目には旧松本高等学校、二日目は「松本城」と「旧開智学校」の国宝ツアーを前編後編にわけてお伝えします。

二日目 -「松本城」と「旧開智学校」の国宝ツアー!

松本城 太鼓門

二日目はいよいよ松本市のシンボル「松本城」です。「太鼓門」から入ります。

松本城は約400年前の戦国時代に造られた深志城が始まりで、現存する五重六階の天守の中で日本最古の国宝のお城です。

国宝 松本城

前回松本城に寄った時は真夏で、天守閣に上るのは辛そうなので中には入らず、外観を見ただけでした。しかし黒くそびえたつ松本城のかっこよさが頭に焼き付いていたので、今回はしっかりと見てきました。やっぱり風格のあるたたずまいですね。

6階まで急な階段を上るのはひと苦労でしたが、最上階からの眺めは最高!天守閣にはたくさんの外国人観光客もいて、展示物に興味津々な様子でした。やはり鎧や鉄砲の前に人が集まります。

私はいつもは使わない筋肉を使ったからか、翌日はすごい筋肉痛でした。

松本城はとにかく絵になるお城です。松本市民の誇りが伝わってきます。

お堀の風景も美しい!

次は、松本城のちょっと北にある「旧開智学校」に歩いていきます。

旧開智学校

旧開智学校」は1873(明治6)年5月6日、学制による小学校として、廃仏毀釈(幕末から明治初期にかけて起こった、神仏分離・廃仏運動)で廃寺となった全久院の建物を仮の校舎として開校しました。日本で最も古い学校の一つだそうです。

この校舎は1875(明治9)年4月に全久院跡地に竣工し、1963(昭和38)年3月まで90年近くも使用されたそうです。戦後もしばらく使われていたんですね。松本市立開智小学校の新校舎は隣にあります。

1961(昭和36)年に重要文化財に指定されていた校舎は、2019(令和元)年に近代学校建築としては初めて国宝に指定されました。松本市は松本城と旧開智学校の二つの国宝を持つ自治体となりました。

開智学校は和洋折衷の「擬洋風建築」で、文明開化期の特徴をよく表しています。八角塔の下にある車寄せの天使像や色鮮やかな雲のモチーフが、無国籍な雰囲気でユニークですね。

車寄せにはこのような龍の彫刻も。開智学校校舎の設計施工は、地元松本出身の大工棟梁・立石清重です。建設費の7割は地元住民が出し合ったお金だそうで、新しい時代を作ろうとする住民の熱意が感じられます。

旧開智学校の内部では、教育・建築関係の資料が公開されています。各時代の教科書が展示されており、見ていて面白かったです。

松本市旧司祭館

旧開智学校のすぐそばには、「松本市旧司祭館」があります。アーリーアメリカン様式のかわいらしい建築で、無料で見学できます。1889(明治22)年、フランス人のオーギュスタン・クレマン神父により建築され、2005(平成17)年に長野県宝に指定されました。

松本ホテル花月

さて、街の中心部にバスで戻ってきました。おなかが空いたので、ちょっと遅いランチです。松本に行ったら「明治20年創業の民藝の館」である「松本ホテル花月」に泊まりたかったのですが、一人で泊まるにはちょっとお値段が張るので、せめてティールームには絶対行こうと思っていました。

ホテルのティールーム「八十六温館(やとろおんかん)」は、ホテルのサイトでレトロな内装を見て、もうたまらなくなりました。

「八十六温館」の店名の由来にもなった、86℃でいれるお店自慢のネルドリップコーヒーです。私は最近、取材でネルドリップのコーヒーをいただくことが多く、そのおいしさにすっかり魅了されました。こちらのコーヒーも雑味のない複雑な味わいで、歩き疲れた体にしみます。

ランチタイムはもう終わってしまったので、ホットドッグを注文しました。ホテル特製のソーセージがもう絶品! かかっているソースも紫玉ネギがアクセントになっていて、大変美味。ヨーグルトも付いてきましたが、これにかかっていたラズベリーソースが、さすがのホテルメイドで本当においしかったです。ちょっと感動するほど。

高級ホテルのティールームというとお高そうですが、ネルドリップのコーヒーとホットドッグで1,300円前後だったので、意外とお手頃なのではないでしょうか。松本に行ったら、ぜひこちらでお茶を! 美しい内装でおすすめです。

おなかもいっぱいになったので、帰る前に街を散策しました。ホテル花月の周辺には大正・昭和レトロな商店建築がたくさんあり、カメラ散歩にぴったりです。

小松パン店

ホテルの隣にあったパン屋さんの看板のフォントがかわいかったので撮りましたが、後から調べてみると「小松パン店」という大正時代から営業している有名な老舗パン屋さんだそうです。特に「牛乳パン」が人気で、すぐに売り切れてしまうそうです。

いい雰囲気の横丁です。

マサムラ

こちらの看板もフォントが昭和レトロでかわいかったので撮影したところ、地元では知らない人はいない「マサムラ洋菓子店」の上土店でした。松本駅近くに喫茶室併設の本店があります。昔ながらのケーキが並び、「ベビーシュークリーム」が一番人気だとか。やはりピンとくる店構えのお店は、名店のようです。

松本はかわいい昭和フォントの宝庫!

帽子型の軒先テントもかわいい♪

懐かしいステンドグラス風のシートを貼った窓。

想雲堂

ホテル花月の向かいにあった「想雲堂」というお店は、ドアがキュートだったので撮りました。たくさんの蔵書がある有名な古本喫茶だそうです。大正時代の店舗建築をリフォームしたとのことです。

白鳥写真館

こちらは「白鳥写真館」という大正時代の建物です。2016(平成28)年に松本市近代遺産に登録されたそうです。こういった美しい建築が街中にゴロゴロあるのが松本の素晴らしいところで、建築好きの人におすすめです。

Snack Bar g’g

Snack Bar g’g」というバーのようです。建築についての解説は見つけることができませんでしたが、マップアプリで店内の様子を見ると、古い建物をリノベーションしているようです。いつ頃の建築でしょうか? 素敵な雰囲気のお店です。

実は松本にはアメリカから来日した某バンドのライブを見るために行ったのですが(前日に名古屋でのライブも見ました)、街にはよさげなレコード店やバンドTシャツ専門店もありました。古い建築物がたくさんある観光地というだけではなく、現代のカルチャーもしっかり押さえている素敵な街でした。信州大学があるから、学生さんも多く住んでいるのでしょうね。

写真を撮って「後から調べたら有名店だった!」という場所も多かったので、ぜひまた行ってみたい街です。ライブがあったのであまり地元の名物料理も食べられず、リベンジしたいです。ちょっと足を伸ばせば美ヶ原高原や上高地にも行けるので、2泊くらいはしたかったです。

情報

松本へのアクセス
・電車で
東京から:JR新宿駅から中央線「あずさ」で約2時間30分〜50分
大阪、京都、名古屋から:新大阪から名古屋まで「新幹線ひかり・こだま・のぞみ」で約50分〜1時間10分、名古屋から松本まで「特急しなの」で2時間

・車で
東京から:約2時間30分
大阪から:約4時間30分
京都から:約4時間
名古屋から:約2時間30分

・飛行機で
福岡 — 松本:1時間50分
札幌 — 松本:1時間30分
神戸 — 松本:1時間

詳しくは松本市公式観光情報サイトをご覧ください。

松本市公式観光情報 新まつもと物語
松本城公式サイト
松本市美術館公式サイト
旧松本高等学校(松本市)
旧開智学校(松本まるごと博物館)
松本ホテル花月公式サイト

上田亜砂子

上田亜砂子

東京で生まれ育ち、名古屋に住んで20年以上になるフリーライターです。電動自転車に乗り、趣味の写真撮影を活かして取材先を回っています。音楽とアートと建築とお笑いが好きです。

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