町おこしはライブハウス経営だ!元ミュージシャンの場作りで、たくましく自立する子供たち【徳島県美馬市】

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今回は、美馬市における町おこしのキープレーヤーである柴田義帆さんを紹介します。

柴田さんは、ゲストハウス「のどけや」を経営しているほか、自身が幼少期に家庭環境で苦労をした経験から、子供の自立支援をされています。また教育が子供達の発想を奪う存在であってはならないという思いから、近年では修学旅行生の受け入れなども積極的に行っています。

柴田さんが活動の拠点としている美馬市は徳島県の北部にあり、藍の集散地、城下町として栄えたうだつの町並みで知られています。美馬市には、多くの海外観光客が訪れ、地域住民と活発に交流しています。柴田さんはこのうだつの町並みを中心に多くのプロジェクトを生み出しているイノベーターでもあります。

今では美馬市の町おこしのキープレイヤーである柴田さん。その活動に至った経緯や、柴田さんが目指す町の形についてお聞きしました。

海外25カ国以上でのワールドツアーを達成。20代を捧げたバンド活動

現在は美馬市脇町でゲストハウス経営をはじめとした町おこしの活動家である柴田さんは、元々大阪心斎橋出身で、地元心斎橋に自身が経営するライブハウスを持つバンドマンでした。20代後半にはワールドツアーを実施し、25カ国以上の地を回っていたそうです。

帰国後に登場したiPodにより、音楽シーンが大きく変わることを直感した柴田さんは、ライブハウスを売却し、バンド活動に区切りをつけます。

「町内外の人が集まる場所を作りたい」妻の一声で始まったゲストハウス「のどけや」

音楽活動がひと段落した後、柴田さんは結婚を機に地元大阪を離れ、奥様の実家である徳島県美馬市に移住します。移住当時は、地方でちょっと音楽でもやりながら、地方でのんびり暮らそうと柴田さんは考えていたそうです。奥様は、人が集まるゲストハウスをやりたいと発案し、2014年7月にゲストハウス「のどけや」をオープンしました。「のどけや」という名前は、光のどけき春の日に。という百人一首の言葉から由来しています。

ライブハウス経営で培った集客と場づくり経験を生かし、オープン直後から予約待ちの人気宿に

柴田さんは、のどけやオープンと同じ年に日本でのサービスがスタートしたAirbnb(エアビーアンドビー)をいち早く導入します。当時はまだ、日本での導入例がごくわずかだったこともあり、のどけやはオープン直後にも関わらず、3ヶ月先まで予約で埋まる人気ゲストハウスとなりました。

人気の秘訣はどこにあるのでしょうか。柴田さんは「ゲストハウスのコミュニティを、地域全体のコミュニティとつなげ、地域外に広げていくこと」を強調します。

連日多くの人でにぎわっていたのどけやですが、そこに地域住民や、自治体関係者なども関わるようになり、次第にその活気はゲストハウス内だけに留まらず、町全体に広がっていきます。

「ライブハウスを経営していた時も、自分一人でできてたわけじゃなくて、近くで音楽をやっている仲間全員で、心斎橋アメリカ村の音楽シーンを作り上げてきた。このうだつの町並みでも同じように、みんなのコミュニティとして新しいイノベーションを作りたいという思いで取り組んでいました」と柴田さん。

ライブハウス経営で培った「場づくり」の経験が、そのままゲストハウス経営、そしてまちづくりに生かされているのです。

「小中学生からでも社会で活躍できる世界を」次の時代を見据えた、子供の自立支援

うだつの町並みの中で、プロジェクトを起こし、空き家の利活用も進む中で、次に柴田さんが目をつけたのは子供に向けた自立支援の取り組みでした。

「町おこしを進めていく中で、義理の父親が亡くなるという悲しい出来事がありました。その時、この町で新しいイノベーションを起こしていくだけではなく、次の世代の子供達に残せるものはないだろうかと考えるようになったんです」と柴田さんは語ってくれました。

それから柴田さんは、のどけやを子供に向けた場としても活用し、町の子供達とも積極的に交流し、修学旅行生の受け入れも始めました。

「僕は常に、時代の先を意識して活動しています。バンド時代はiPodの登場でCDが売れなくなると思ったので、ライブハウスを売却して、次はワールドツアーの経験から、インバウンドの可能性を感じたのでエアビーをいち早く導入しました。そして、これからの時代に必要だと感じているのが、子供の自立支援なんです」

柴田さんは、3人の男の子を育てる父親でもあります。その父親としての目線から見た時、今の教育の課題として、全ての子供を同じ型にはめようとする事をあげていました。

「主体性を押さえこんでしまうような教育は、子供の自由な発想や原動力を奪ってしまいます。自立支援というのは、本来必要のないものです。しかし、大人が子供を押さえつけてしまうと、自立支援が必要になる子供が増えてしまうのだと考えています」と柴田さんは、子供の自立支援の重要性について語ってくれました。

今掲げる目標として今後3年以内には、子供達をより安全に受け入れるための体制を整えていくそうです。

20代はミュージシャンとして活動してきた柴田さんは、ゲストハウス「のどけや」の運営を経て、うだつの町並みをさらに活性化させると共に、子供が自由に創作ができる町おこしを続けていきます。

木場晏門

木場晏門

香川県三豊市

編集部記者

神奈川県鎌倉市生まれ藤沢市育ち、香川県三豊市在住。コロナ禍に2年間アドレスホッピングした後、四国瀬戸内へ移住。webマーケティングを本業とする傍らで、トレーニングジムのオープン準備中。

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