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プラモデル出荷日本一の静岡市のユニークな取り組み
私の故郷、静岡県中部に位置する静岡市は、日本全国のプラモデル製造品出荷額の8割以上を占めており、「プラモデルの聖地」として国内外のプラモデルファンに広く知られている。ガンダムのプラモデル「ガンプラ」で有名なバンダイや、子供たちに人気のミニ四駆を手掛けるタミヤ、車両や艦船のプラモデルで知られるアオシマなど、多くのプラモデル企業が本社や生産拠点を静岡市に構えており、地域産業として発展してきた。
近年、静岡市では地方創生プロジェクトとして「静岡市プラモデル化計画」を進めている。この計画は、街の風景をプラモデルのように表現し、訪れる人々にプラモデルが持つ“ワクワク感やドキドキ感”を体感してもらい、「模型の世界首都・静岡」を世界中に知ってもらうことを目的としている。街中にあるさまざまなオブジェクトを組み立て前のパーツのように分解し、プラモデルのランナー(パーツを切り離す前の枠)にはめ込んだデザインの「プラモニュメント」を各所に設置するというユニークな取り組みが行われている。
静岡市役所の庁舎付近には、郵便ポストの「プラモニュメント」が設置されている。このポストは実際に郵便局が郵便物を回収し、普通の郵便ポストとしても使用されている。
他にも自動販売機や公衆電話、喫煙所の灰皿など、多くのモチーフがプラモニュメント化され、通行人の目を引いている。中心街のあちこちに配置されているため、見つけることが楽しみでもある。
プラモデルの発展は江戸時代の木工技術がルーツ
静岡の模型産業のルーツは江戸時代までさかのぼる。駿府城や神社の造営のために全国から集められた名工たちが定住し、豊富な森林資源もあったことが背景とされている。木工業が発展した結果、1950年代までは模型も木製のものが主流であった。しかし、木製模型を上回る精密さと手軽さを持つプラスチックモデルが海外から輸入されると、その人気は急速に高まり、静岡の模型メーカーは時代の流れに合わせ、プラモデルへの転換に試行錯誤を重ねた。
プラモデルの黎明期には、実在の車やバイク、船舶や飛行機などの模型が主流であったが、テレビの普及によりアニメキャラクターやメカの模型も発売されるようになり、各メーカーから個性豊かな商品が次々と生まれた。これにより、プラモデルは、子どもたちにたくさんの夢と驚きを与える存在となり、人気がさらに高まっていった。
現在では、日本最大級の模型展示会である「静岡ホビーショー」が毎年開催されており、プラモデル、フィギュア、鉄道模型、ラジコンカーなどの新製品が発表されている。このため、世界中のプラモデルファンやバイヤーが静岡を訪れ、静岡市は「プラモデルの聖地」として世界的に認知されつつある。
プラモデルを軸にさまざまな形で展開される地域創生プロジェクト
今後も静岡市の行政と企業が協力し、プラモデルへの関心を高める取り組みを進めることで、「模型の世界首都 静岡」の認知度向上を目指していく。個人的にも故郷である静岡の産業とホビー文化の発展を心から期待している。
プロジェクト詳細
静岡市プラモデル化計画(https://www.hobby-shizuoka.jp/city/model/)
静岡ホビースクエア(https://www.hobbysquare.jp/)
静岡市プラモデル化計画オフィシャルサポーター
『LINKLPLANET』(https://bandai-hobby.net/site/plamogirlsproject/)
全国プラモデル選手権大会(https://mokei-shizuoka.com/)