沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。
目次
「塩づくり」から「サスティナブル・ツーリズム」に行き着いた意外な理由
沖縄県石垣島で独自のサスティナブル・ツーリズム事業「Cyclft(サイクラフト)」を実践しているのが「株式会社ソルトラボ石垣島」です。レンタカーを利用した観光客が海岸の漂着ゴミを回収し、それを同社の機械でリサイクルし、お土産を作るというユニークなビジネスモデル。この取り組みは、環境保護と観光の組み合わせを通じて持続可能な観光の新しい形を提案しています。
創業は2018年。石垣島のさらに西側に位置する西表島で、100年前に途絶えた塩づくりを復活させるべく誕生した製塩業の企業として誕生しました。
では、塩づくりから始まりどのような経緯でサスティナブルツーリズム事業に結びついたのでしょうか?
それは「海岸のゴミ問題」でした。
元々、西表島の日本一綺麗な海水を使った塩づくりをしたかったのですが、ゴミが漂着する海岸ではとても綺麗な海水とは呼べず、それが現在のサスティナブル・ツーリズム事業に行きついたきっかけです。
手がけるのは、理化学装置メーカー出身の技術者
この事業を率いるのは、同社代表の藤本 健 (ふじもと・たけし)さんです。「サスティナブル・ツーリズム事業を手掛ける人」と聞けば、私も含め多くの人は環境保護に熱心な活動家を想像してしまいますが、特にそういう訳ではありませんでした。
むしろ、藤本さんが「理化学装置メーカー出身の技術者」という事実に意外性があり、感情が先行しがちの環境保護の分野に、科学的な視点をもって挑むところに革新性を感じました。
プラスチックゴミのリサイクル事業において課題となるのは、融点の違うプラスチックを分別するコスト面の他に、紫外線により劣化しやすいというプラスチックの特性です。ソルトラボ石垣島では、この課題に対して、プラスチックに混ぜることで強度が増す特性のある複合材料として「セルロース(CMF)」という繊維を使用しています。
観光客は、自身が回収したプラスチックゴミにこのセルロースを混ぜ合わせ、強度のあるアップサイクル商品を作り、それをお土産として持ち帰ることができます。
技術的な面では、藤本さんが以前勤めていた柴田科学株式会社などと太いパイプがあるのも同社の大きな強みです。
「やらない善よりやる一歩」という社訓とともに、自走できるソーシャルビジネスへ
ソルトラボ石垣島には、「やらない善よりやる一歩」という社訓があります。
気軽にポイ捨てされたプラスチックが地球規模で海洋汚染を引き起こしており、「プラスチックは悪」という共通認識が世界規模で形成されつつあります。
そんな中、悪いイメージのあるプラスチックを利活用する事業に挑戦するこの会社の姿勢は、「やる一歩」という社訓からも伺えます。もちろん、プラスチックを削減する努力はするべきですが、必ずしもプラスチックが悪い訳ではないのです。
とはいえ、アップサイクルして商品化したとしても、結局はゴミになるものを作ってはいけません。この点、同社は開発力にも自信を持っています。
サングラスなどの実際に生活に使えるものから、これまでは紙で作成していた幼稚園の卒業のメダルなど、観光客や園児たちが自分たちで手を動かしながらゴミを再生させ、理化学の面白さやゴミ問題などに触れてもらいたいと藤本さんは話します。
補助金を活用しつつも、自走できるソーシャルビジネスを目指すソルトラボ石垣島の取り組みに期待しましょう。
株式会社ソルトラボ石垣島
Cyclft(サイクラフト)・サイクラフトレンタカー(旧星空レンタカー)
公式ウェブサイト : https://iriomote-salt.com/
Instagram:https://www.instagram.com/hoshizora_rentacar/?hl=ja#
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