〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
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秋田藩主も「秀でて良し」と認めた酒蔵、鈴木酒造店
2005年、平成の大合併で8市町村が合併して誕生した秋田県大仙市。「大曲の花火」で知られる一方、秋田の質の高い米を使った酒蔵(さかぐら)が各地に残り、今も盛んに日本酒などのお酒が製造されている地域です。ここに、数々のお酒の品評会で優秀な成績を納めてきた酒蔵、合名会社鈴木酒造店があります。
創業したのは、江戸時代前期の元禄2年(1689年)。後期になると店の名も知られるようになり、秋田藩主・佐竹氏が品評会で鈴木酒造店のお酒を特に気に入ったという逸話も残っています。
その佐竹氏が、それまであった御用酒よりも「秀でて良し」と称賛されたことから、お酒は「秀よし」と名付けられました。今でも鈴木酒造店を代表する日本酒です。
「常に食文化を牽引する気持ちがないと、伝統は生まれない」
「業界をリードする気概で、先進的な取り組みを続けていかなければなりません。いつの時代でも改革の手を緩めれば10年で潰れてしまいます」。
そう話すのは、鈴木酒造店社長、鈴木直樹さん(すずき・なおき)です。昔と今とで日本酒の製造自体に大きな違いはありませんが、世の中は大きく変化しています。鈴木さんの言葉は、昔の蔵の設備や人々の好みのまま変化がなければ、伝統はそこで途絶えてしまうという危機感の表れでした。
歴史と実績を積み重ねてきた酒蔵ですが、扱う商品は現代の生活様式に合ったラインナップとなっています。中でも今回のふるさと納税の返礼品としてお届けする「ラシャンテ」は、お米と水を原材料としながら、果実が入っているような酸味を味わうことができる、イチオシの発泡清酒です。
鈴木さんは次の時代を見据えてこう話します。「世の中はすごいスピードで変化しています。常に食文化を牽引する気持ちがないと、伝統は生まれないと思っています」。
100年後、1000年後も続く酒蔵を目指して
酒蔵の伝統の味を守りつつ、時代を捉え、挑戦を続ける鈴木酒造店。鈴木さんは「酒造りだけでなく、人の会話から生まれる雰囲気を意味する『座』や、空間と時間を楽しむ『間』も生み出していきたい」と言います。
そのために今、力を入れているのが、経営する懐石料理のレストランや酒蔵を見学する「酒蔵観光」です。このうち「酒蔵観光」は年間1万人もの客が訪れる大人気の催しです。コロナ禍でもオンラインでシンガポールと台湾の客を案内したところ、好評を得たということです。
「流行に流されてしまうと個性がなくなってしまうし、お酒を選ぶ楽しみも減ってしまいます。晩酌の時に、お酒を飲む人が『自宅の料理と地元のお酒はよく合うなぁ』と思ってくれることを目指して造っています」と鈴木さん。
「酒蔵とは地域の食文化を守るもの」との思いを込め、鈴木酒造店は100年後も、1000年後も選ばれる酒造りをこれからも続けていきます。