愛媛県八幡浜市の中心部にある市営駐車場では、車庫入れに少しの勇気とテクニックが必要となる。なんと、駐車スペースが川の上に大きくせり出しているのだ。
写真説明①八幡浜港の風景
八幡浜市は愛媛県の中西部にある港町。九州へのフェリーが発着する交通の要所で、「じゃこ天」や「ちゃんぽん」などの名物料理でも知られている。中心商店街の周辺にはいくつかの市営駐車場が整備されており、「新川駐車場」もその一つだ。
筆者は八幡浜を友人の運転で訪れていた。友人(他県在住)は国道に出ていた誘導看板を見つけ「ここに停めるか」と、何気無しに角を曲がった。すると正面には川を渡る橋。そして、岸辺の細い道に沿って新川駐車場はあった。だが、停められている車がほとんど川の上に出ている。目を疑った。
勇気ある友人はバックモニターを頼りにそろりそろりと後退し、いよいよ車は川の上へ。金属製らしい車止めはかなり低く、いざという時に守ってくれそうもない。道幅もかなり狭いので、何度も切り返す。慎重に慎重に、何とか駐車を終えた。それでも、地元の方のものか、すでに停まっている車ほどギリギリに寄せることはできなかった。
写真説明②川の上にせり出した新川駐車場。かなりギリギリに寄せている車も多い。
新川駐車場は市中心部を流れる千丈川にせり出している。1975年、市内の駐車場不足を解消するために開設されたという。八幡浜市の市街は山と海に囲まれているため、わずかな平地に建物が密集している。新川駐車場は、こうした土地利用の制約から生まれたのかな、と想像する。
八幡浜の地理的な特殊性を象徴するスポットでもある新川駐車場だが、残念ながら、2018年の西日本豪雨で被害を受けた千丈川の護岸工事に伴い、2023年3月末をもって廃止が決まっている。
料金は30分60円からとリーズナブルで、市のホームページでも、フェリー埠頭に最も近い駐車場として(特に注意書きは無く)紹介されている。何も考えなければとても便利な駐車場なので、廃止前に八幡浜市のまち歩きをする方には、ぜひトライしてほしい。
必要なのは、少しの勇気とドライビングテクニックである。
参考:八幡浜市 市営駐車場案
http://www.city.yawatahama.ehime.jp/docs/2014082200058/
令和5年3月末における新川駐車場の営業終了について