ザックザック、ザックザック。
ざらめ状に固まった雪を踏みしめ、一歩一歩、そっと歩く。
ツルッと滑ってみたり、天然の落とし穴にズボッと足をとられ、長靴の中に雪が入ったりする。
凍った自然の平均台をバランスをとって、そおっと、そおっーーーと渡る。
なんてったって足を滑らせると、水の中におっこちてしまうから。
ここは秋田県にかほ市象潟町。
鳥海山のふもとだ。
お目当ては「元滝伏流水」。
3月上旬、今なお、雪で埋まっている道なき道を川沿いに歩く。
時折、杉林の隙間から陽が差し込んでキラキラと川を照らし、苔が岩や木としっかり共生しているところにも陽光。
どこかしら空気が伸びやかになったように感じられる。
ふと川の中に目をやると‥‥‥?!
しっかりと両手を広げた一輪のふきのとう。
「あれ?水中花だったっけ?」
雪解け水をはらんで勢いよく流れているのに、しっかりと根付いて咲いている。
周りの景色も楽しみながら、落とし穴にもはまりながら、ゆっくり歩くこと30分。
「わぁーーー!!!」
雪解け水をふくんだ伏流水が音をたてて流れ落ち、川に落とされた水は勢いをつけて岩に身を任せるように流れていく。
この時期は木の葉が無いおかげで遠くに元滝もかろうじて見える。
この大自然に「ありがとーーー!」って叫びたい私がいるのだ。