
郡山市湖南町を流れる清水川に清らかな水を好む希少な水草・バイカモ(梅花藻)が花を咲かせている。地域住民による地道な保全活動の成果もあって、絶滅危惧種に指定されるこの可憐な植物は多くの人をひきつけてやまない。初夏しか見ることができないこの自然の芸術に会いに行ってきた。
目次
バイカモとは — 清流を愛する絶滅危惧種の多年草
バイカモはキンポウゲ科の水草で、梅の花に似た小さく繊細な白い花を咲かせる日本固有種だ。北海道から九州までの清流に自生するが、冷たく清らかな水を好むため、都道府県別レッドデータブックで絶滅危惧種に指定している地域もある。福島県内でもなかなか見ることができない、貴重な自然の宝物だ。

清水川の清らかな流れが育む自然の芸術と保護活動
郡山市湖南町の住宅地を流れる清水川は、その名の通り透明度の高い清流。地域住民らによる保全活動も美しいバイカモを守る大切な役割を果たしている。清流に身をゆだねて揺れるバイカモは初夏から白い花を水中で咲かせ、地域では「金魚草」とも呼ばれ親しまれている。特に暑い夏に清流のせせらぎと共に見るその姿は、心を洗い流すかのような涼感だ。地元の保存会や住民は水質保全に努め、貴重なバイカモの生育環境を守り続けている。

お手軽に楽しめる貴重な自然スポット
バイカモが自生する清水川は、JR磐越西線上戸(じょうこ)駅から車で約30分。近くには木造阿弥陀如来坐像としては東北地方最大の「中地(なかじ)大仏」もある。清水川は県道からほど近い一般住宅地の間を流れているため、特別な装備なしで気軽に観察できるのも魅力のひとつ。駐車場も整備されており、猪苗代湖(いなわしろこ)散策のついでに訪れるのもおすすめだ。

透き通った清流に咲くバイカモは、まさに自然の繊細な芸術品。今年のバイカモの見頃は8月いっぱいになる見込みだ。夏の暑さを忘れて清流の涼を求めつつ、バイカモの可憐な姿に癒されてみてはいかがだろうか。
※本文の写真や記載されている情報は取材時点のものです。最新の情報は郡山市観光協会もしくは湖南町商工会などのサイトでご確認ください。
取材協力:湖南町商工会 https://konanmachi.com/
情報
車:県道6号線沿いの「安佐野」看板を南に曲がり、住宅地の裏通りに入ると川沿いに無料駐車場あり
バス:会津交通 バス停「中野三森別」(なかのさんもりわかれ)から徒歩約5分
参考:郡山市観光協会(https://www.kanko-koriyama.gr.jp/)、北海道レッドデータブック(北海道レッドデータブック作成部会)、バイカモ移植の全国各地の取り組み(公益財団法人リバーフロント研究所)