
ローカリティ!5周年記念イベント「ロカフェス2025」の一環として、2025年10月19日、ローカリティ!の一人ひとりの“心の火”を灯した記事をたたえる「ハツレポグランプリ2025」がついにフィナーレを迎えました。今期寄せられた数多くの記事の中から、特に印象深い作品が厳選され、グランプリや編集部による各賞が発表されました。
目次
「心に火が灯る」読者の共感によりグランプリが決まる
ロカフェス2025は、“心の旗に火をともせ! 〜小さな灯りが集まって、未来を照らす大きな光へ〜”をテーマに開催されました。それは、一人ひとりの中にある「心の火」を見つめ、言葉にしつなぎ合わせていく、そんな思いから生まれた祭典です。
その思いを反映させるかたちで行われたのが「ハツレポグランプリ2025」。 記事として発信された“心の火”が集い、互いの思いが交差する時間となりました。
今年は全国の皆様が執筆して下さった753もの記事の中からアンケートにより95記事、編集部から150記事のあわせて245記事が推薦され、そこから編集部による厳正な審査を経て、30記事がノミネート作品として選ばれました。そしてニュース性や見出しの取り方などの観点からさらに吟味され、最終的に15記事がグランプリ候補に選ばれました。
投票期間は10月12日から19日までの1週間、アンケートフォームによる投票を通じて一般の読者の皆様やハツレポーターの皆様にご参加いただきました。特に今年は接戦となり、いずれも甲乙つけがたいほどの質の高さが際立っていました。合計で159もの貴重なご回答をいただき、皆様の一票一票が心の火”をつなぎ、グランプリを決定する大切な灯となりました。
受賞作品発表
グランプリ
綿入れはんてんを家でも外でも楽しむ、福岡県八女市のあったか家族【福岡県八女市】
中尾絵里さん
はんてんを日常に取り入れる実用性と、おしゃれでかわいらしい感性が見事に両立。「なぜ福岡で?」という背景にも踏み込み、地域の伝統を新しい視点で捉え、家族の日常に温かく寄り添いながら多くの人の“心の火”を灯しました。
2位
ワインを一から作りたくて、麻布十番から秋田に移住した46歳の挑戦【秋田県潟上市】
田川珠美さん
東京・麻布十番という華やかな舞台から「なぜ秋田で?」という筆者の田川さんが深い問いを投げかけます。安東さんの答えを通じて土地と人、時間と未来をつなぐ物語になりました。記事をきっかけにワイナリーボランティアが生まれるなど、人々の行動へと火を灯しました。
3位
「女落武者が現代に?」秋田で繰り広げられた戊辰戦争の真実を追う、秋田口戊辰戦争映画プロジェクト 櫻田智子さん 【秋田県秋田市】
前田かおりさん
秋田でもかつて戦があった。しかし、その歴史を詳しく知る人は今や少なくなっています。この記事では、映画プロジェクトを通じて戊辰戦争の真実を掘り起こそうとする櫻田智子さんを取材。なぜ彼女がこのテーマに挑むのか、その背景にある人生の物語にも光を当てています。忘れられつつある歴史を“現在”の視点から問い直す一編です。
各賞の発表
編集長賞
21 年間の歩み――重度心身障害のある息子とともに【和歌山県和歌山市】
久松公代さん
「私の息子、悠河(ゆうが)は生まれつき重度の心身障害があり、言葉を話すことも、排泄(はいせつ)や食事を自力ですることも難しいです。それでも、彼は人が大好きでいつもにこにこと笑っています。その笑顔にどれだけ救われてきたかわかりません」久松さんの思いがこの一文にすべて詰まっています。心の思いをそのまま記事として発信してくださったことに感謝します。
特別功績賞
年間82本執筆! 昆愛さん

https://thelocality.net/author/f242e49eeb588587925d14141f1bfb567264edcd
年間82本という圧倒的な執筆量で地域の今を伝え続けた昆愛さん。地域に生きる人々の声をすくい上げ、社会の記録を残しました。広く深く取材を重ねる姿勢は、まさに地域ジャーナリストの鏡。自らの発信にとどまらず、他のハツレポーターの執筆意欲をも高め、ローカリティ!の輪を広げてくれました。
副編集長・丸山賞
青い鯉のぼりの日。震災追悼にとどまらない「100年続くお祭り」に育つ【宮城県東松島市】
阿部宣行さん
震災の記憶を未来へと受け継ぐ「青い鯉のぼり」。阿部さんの記事は、写真が美しいだけではなく、追悼の枠を超え、“今を生きる子どもたち”の笑顔とともに希望を描き出してくれました。「100年続くお祭りへ」という視点が、地域の祈りと再生を力強く伝える印象的な作品です。
副編集長・天野賞
「お母さん、胸がなくても生きられるんだね」手術を受けた私が母にかけた言葉。それは、私自身を支えることばにもなった【和歌山県和歌山市】
久松公代さん
「離れて住む母を安心させたい」という思いから生まれた一言が、結果的に自分自身をも救う力となったことを静かに伝えています。「胸がなくても生きていける」その言葉の裏には、恐れや葛藤を越えて生きることを見つめ直す、そんな久松さんの姿勢を受け取りました。
ベストジャーナリズム賞
津波遺留品の返還事業終了へ──東日本大震災から14年、記憶を未来へ【福島県いわき市】
昆愛さん
大きなニュースとしては報じられにくい“静かな記憶”に光をあて、震災から14年を経た今も続く人々の思いと向き合う、そんな記事です。 一つひとつの遺留品に込められた祈りや時間を丁寧に記録し、「忘れない」という行為の尊さを私たちに問いかける姿勢はジャーナリストそのものです。
ベストバズリ田口賞
麺が山!一杯でお腹いっぱいになるお蕎麦屋さん【山形県山形市】
惺山高校さん
惺山高校のみなさんの記事は、とくに、大胆でフレッシュな言葉選びが印象的で、 思わずクリックしたくなる“爆発力のある見出し”が次々と生まれました。
まっすぐで、迷いのない言葉の力が多くの読者の“心の火”を灯しました。
編集部・國府谷賞
気軽に焼き印パンのことを気軽に投稿してみたら、全国のご当地焼き印パンが集まってきた【福岡市・北九州市・八女市・仙台市・大阪市・秋田市・大仙市】久田一彰さん
ローカリティ!のコミュニティに「皆さんのところにありますか?」と気軽に投稿した焼き印パンの写真がきっかけ。一枚の写真から生まれた問いかけが、福岡・北九州・八女・仙台・大阪・秋田など全国へと広がり、次々とご当地パンが集まりました。誰かの小さな発信が、共感とつながりの輪を広げていく。まさにローカリティ!のコミュニティらしさが全開の一記事でした。
編集部・田口賞
津軽三味線が流れる町中華のご主人は、三味線を弾くだけでなく今も現役のテナーサックス奏者だった!【茨城県つくばみらい市】
愛智なおゆきさん
町中華と津軽三味線、そしてまさかのテナーサックス。
意外な組み合わせの裏にあるのは、“好きなことを貫く”ご主人のまっすぐな生き方でした。写真の表情からにじむ人間味に、読む人も思わず笑顔になる。音楽のように人を酔わせ、人生の深みを感じさせる記事です。
地域や個人がさらに輝く新しい未来へ
ローカリティ!の5周年を記念して開催された「ロカフェス2025」では、今年もたくさんの“心の火”が交わり、多くの感動と出会いが生まれました。
なかでも「ハツレポグランプリ2025」は、全国から集まった記事の中から地域や人の価値を掘り下げ、共感を広げる作品をたたえる場として大きな盛り上がりを見せました。
外から見ただけでは気づかない「内なる価値」に光を当て、その思いを言葉にして届ける。その積み重ねこそが、地域や個人の未来を変えていく原動力であることを、あらためて感じさせてくれるイベントとなりました。
これからも「ローカリティ!」は、各地で灯る“心の火”をつなぎながら、地域と人、そして社会を動かす架け橋として歩んでまいります。
来年もまた、新たな驚きと感動をお届けできることを楽しみにしています。
皆さまのご参加とご投票に、心より感謝申し上げます。