
毎年2月11日、山形県上山(かみのやま)市で行われる「加勢鳥」(かせどり)を訪れた。山形に移住してから2年、今回で2度目の観覧となる。昨年は雪が降る中での開催だったが、今年は晴天。青空の下で見る加勢鳥は、また違った表情を見せていた。
そもそも加勢鳥とは何か。これは、火伏せの霊鳥「ケンダイ」(伝説上の鳥)に由来する小正月(旧暦1月15日前後)の伝統行事である。藁蓑(わらみの)をまとった若者たちがその化身となり、町を練り歩く。人々はそこに水を浴びせることで、火難除けや無病息災、五穀豊穣を祈願してきた。凍てつく冬空の下、水しぶきを浴びながら舞う姿は、地域の信仰そのものを体現している。
朝、出発点である上山城へ向かうと、すでに多くの人でにぎわっていた。上山城は、JRかみのやま温泉駅から徒歩約10分の場所にある。城前の広場には観光客が集まり、開始を待つ人々の熱気がが漂っていた。
午前10時、加勢鳥となる参加者たちが整列する。上半身裸に藁装束をまとい、真冬の寒さの中で立つその姿だけでも圧倒される。気温は一桁台。それでも会場には、彼らの気迫と熱気が満ちていた。
加勢鳥は公募で集まり、毎年さまざまな人が参加する。国内外問わず、老若男女、たくさんの人が参加していることに毎回驚かせる。日本全国はもとより、海外から参加している人も一定数いた。初参加の人もいれば、何度も参加している人もいる。その多様さもまた、この祭りの魅力のひとつだ。
神事が行われた後、いよいよ祭りが始まる。加勢鳥たちは掛け声とともに舞い始める。ここからがこの祭りの真骨頂だ。観客が次々と水をかける。容赦なく浴びせられる水。それでも加勢鳥たちは笑顔で舞い続ける。寒さを超えたところにある何かが、そこには確かにあった。



城前での舞が終わると、今度は城下町へと移動する。加勢鳥たちは町を練り歩き、各所で舞を披露する。そのたびに水がかけられ、町全体が一体となり、祭りを作り上げていく。
観客と加勢鳥の距離は近い。見るだけでなく、参加する側に自然と引き込まれる。祭りは“見物するもの”ではなく、“関わるもの”であることを実感する瞬間だ。
舞の最中に落ちる藁は縁起物とされ、拾うと無病息災や家内安全のご利益があると言われている。そのため、観客の中には舞の合間を見て真剣に藁を拾う人の姿も見られた。その一つひとつが、祭りと日常をつなぐ小さな証のようにも思えた。

今回で2回目の観覧となったが、昨年とはまた違う発見があった。何度見ても飽きることがなく、むしろ見るたびに引き込まれていく。見ているはずなのに、どこか自分も参加しているような感覚になる不思議な祭りだ。
毎年2月11日に行われるこの加勢鳥。ぜひ一度、その場で体験してほしい。寒さに自信がある人は、加勢鳥として参加してみるのもいいかもしれない。気づけば、この祭りに毎年戻ってきているかもしれない。

情報
加勢鳥(かせどり)
開催日:毎年2月11日
場所:山形県上山市(上山城および城下町一帯)
アクセス:
JR奥羽本線「かみのやま温泉駅」より徒歩約10分
山形駅から電車で約15分





