
今年のゴールデンウィークも、仙台環境開発大倉ダム(仙台市青葉区)が初夏の風物詩であるこいのぼりとともにダム放流とともに彩られた。

大倉ダムは日本でここだけにしか存在しない「ダブルアーチ式ダム」という非常に珍しい形をしている。1961年に完成して翌年に稼働し始めた歴史のあるダムだ。
普通のダムのように壁の重さで水をせき止めるのではなく、2つの美しいアーチ(弓型の曲線)を連ねることで、水圧を両岸の岩盤へ逃がすユニークな仕組みになっている。その高い技術と歴史的価値から、2023年度には「土木学会選奨土木遺産」にも認定された。
観光名所の「定義西方寺」へ向かう道中にあるため、つい通り過ぎてしまいがちだが、実は日本屈指の貴重なスポットなので、通り過ぎるのはもったいない話だ。
「『せっかくの地域にある貴重なダムに足を止めてもらい、地域ににぎわいを生み出すことはできないだろうか』そんな思いから、ダムをこいのぼりで彩ろうと『大倉ダムの魅力発信実行委員会』が2017年に発足した」
同委員会と協働された宮城西市民センターの館長の熊谷英之(くまがい・ひでゆき)さんはそう話す。
ところが、こいのぼりが飾られ始めたのは2019年。始まるまでは2年がかりで、決して平坦なものではなかった。それに至るまでには宮城県に許可申請をし、許可が下りてからでないと開始できなかったからだ。発足から2年の間に、鳴子ダムや宮城県内の河川の視察を行ったうえで「できることはないか?」と模索し続けたそうだ。
2019年、ようやく宮城県の許可を得られ大倉ダムにこいのぼりを飾ることができた。。近くの上愛子小学校や広陵中学校との協働の下で事業を展開。開始の翌年は新型コロナウイルス感染流行に伴い、秋に延期して開催されたものの、仙台市の支援の下で継続し、第8回目を迎えることとなった。

仙台にある有名なダムが、地域の小中学生が作ったこいのぼりで彩られるのは筆者としても喜ばしい。子どもたちにもふるさとを大切にする思いを持ってもらえる事業だと思う。

少子高齢化によって人口減少に歯止めがかからない昨今ではあるけれど、今後とも地域が一丸となってこのような事業を継続し地域のにぎわいを保ち、美しいダムの姿が未来へ引き継がれることを筆者は願っている。
※画像はすべて2026年5月5日に筆者が撮影





