子供の頃、家にあったSF小説の表紙に心惹かれた。美しくもおどろおどろしい色使いで表現される宇宙や異星の様子。その中に登場する奇っ怪な生き物たち。子どもだった私は、それらに強く興味を惹かれながらも、同時にずっと見ていたらどこかへ連れ去られてしまうような恐怖も感じながら、引き裂かれる気持ちにドキドキしていたものだった。
そんな子供の頃のドキドキを思い出させてくれる場所がある。それが、福島県いわき市にある水族館「アクアマリンふくしま」の展示コーナーのひとつ「ふくしまの海~大陸棚への道〜」だ。ここでは、福島県沖の海岸からおよそ水深200mまでの大陸棚に生息する生き物と、深海に生息する生き物が展示されている。
暗い水槽に怪しく照らし出される海の生き物たち。普段地上で生活している私たちの常識を揺さぶるその姿はまさに、子供の頃ドキドキしていたSF小説の表紙に描かれていた奇っ怪な生き物たちそのものだ。
特におすすめなのがタカアシガニの水槽だ。他のすべての情報をシャットアウトしてこの水槽をじっと見つめ、まだ人類がまだ到達していない異星への旅に思いを馳せてみてほしい。