株式会社ちょんまげ(以下ちょんまげ)は、スタートアップや中小企業の経営者向けにエグゼクティブコーチングを提供し、社長の思いを実現するサポートを行っています。2015年に設立し、今年で10年目を迎える同社の石上和平(いしがみ・かずなり)さんに、成功する経営者を支えるノウハウや、創業の原体験、将来実現したい世界について、お話しを伺いました。
目次
経営者の幸せが、組織の更なる成功を後押しする。「社長のふくろう」が紡ぐ幸福の連鎖
ちょんまげのエグゼクティブコーチング「社長のふくろう」は、経営者の「苦労」を「不苦労(ふくろう)」に変え、成功を支えるサービスです。ビジネスだけではなく、プライベートでの成功も目指し、経営者に寄り添って伴走する点が特長です。
「前職で関わった経営者の中には、事業は成功し組織も成長しているものの、社員からの愛情を感じられなかったり、家庭での幸せを享受できていなかったりする方が少なくありませんでした。私は、経営者自身のプライベートなビジョンの成功も事業の成功と同様に重要だと考え、事業を運営しています」
経営者が幸せになることで、その幸福が周囲に伝播し、更なる成功を後押しする環境が生まれると石上さんは言います。経営者の幸せが組織の未来を形作り、そのような組織が増えていくことで、夢がかなう社会の実現につながるのです。
「コーチは黒子のような存在です。ただ、その影響は計り知れないものがあります」
石上さんは、コーチングを通じて企業が成長し、関わる人々が幸せになる様子を近くで見られることに喜びを感じています。
影響力の大きい人の人生の成功を支えることで、夢が応援される世界をつくる
石上さんは、中小企業向けコンサルティング会社「株式会社びりかん」でマーケティングコンサルタントとして勤務した後、2015年に独立しました。現在はコーチング事業を主軸に、8名の業務委託者とともに、スモールかつスマートな経営形態で事業を展開しています。
ちょんまげの創業のきっかけは、前職で2012年に立ち上げたコーチングセッションのプロジェクト「CallMe(コールミー)」でした。その際、100人の顧客のうち5%が経営者や投資家であることに気づき、「一般の方へ向けてではなく、1を10にも100にもしようと考えている経営者に向けてコーチングをやっていきたいと思いました」と石上さん。
その経験をもとに、経営者を対象としたコーチングを始めることを決意。クライアントの進化や成長を促すための気づきを提供し、思いを言語化・整理・要約し、背中を押す役割を担っています。現在のコーチングメソッドは、前職時代のものに石上さん独自の手法を加えて進化させたものです。
「経営理念である『志に寄り添い 夢を叶え 笑顔あふれる未来を創造します』は私がやりたい世界観です。ハードルは高いですが、その最初のステップとして世の中への影響力が大きい企業や経営者の方の人生の成功をサポートしようと考えました」。
「信頼関係を築くことが重要」2回の無料セッションを提供するわけ
石上さんの独自メソッドによるコーチングは、クライアントのビジョン実現を目指し、長期的な目標を「ビジョンシート」に記録。毎回のセッションで行うアクションを「アクションシート」に落とし込みます。
クライアントが設定したアクションの進捗や達成度を毎回確認し、成功要因や阻害要因を分析しながら改善策を立てていきます。ただ目標を設定するだけでなく、その実現に向けた行動を具体的かつ継続的にサポートすることが石上さんのコーチングの強みです。セッション内容や進捗はすべてログに記録されるため、長期的な成長や達成を振り返ることができるのも特長です。
コーチングは2回目以降の振り返りと改善のリフレクションが重要なので、初めてのクライアントには無料で2回のセッション(各90分)を提供しています。このアプローチを通して、クライアントがコーチの価値を理解し、変化が起こせそうだと感じた場合に初めて契約に至ります。
「実際にコーチングを受けてもらうことで、僕らの提供する価値を実感してもらえるはずです。信頼関係を築くために時間をかけることは重要です。何者かわからない者にお金を払うとはならないですから」と石上さんは続けます。
将来、コーチングがもっと身近になる未来を目指して
「コーチングのトレーナーは増加していますが、コーチングを受けたい経営者がそれに比例して増えておらず、思ったより市場がないことが課題です」と石上さんは指摘します。
「大手企業のエグゼクティブ層のマーケットは大きくなっています。私たちのお客様となるスタートアップや中小企業の経営者向け市場は思った以上に難しいですが、やりがいがあります。今後は市場を形成していくことにもチャレンジしていきたいです」。
石上さんの直近の目標は、5年以内に500人の経営者に対して「社長のふくろう」を提供することです。この数は、経営者が当たり前にコーチングを受ける新たな基準となり得ると語ります。
次に目指すのは子供たちへのコーチングです。「恵まれない環境にいる子供たちほど、私たちの支援が必要だと感じています。子供たちが、環境の良し悪しに関わらず、夢を追えるようなサポートやスキーム作りに貢献したいと思っています」。
石上さんは、経済的に成功している経営者たちとのつながりを活用して、「あふれる富」を社会に還元する循環システムの構築を計画しています。
「世の中を良くしたいと考える若い人たちへの寄付や投資、出資など、若者たちが社会を良くするための資金援助のシステムを作っていきたいです」。
「夢が応援される世界をつくる」という壮大なテーマに向けて、石上さんはAIを活用したハイブリッド型コーチングへの新たな取り組みも始め、夢に近づくためにさまざまな挑戦を続けています。
聞き手:丸山夏名美、執筆:坂本友実