かつてテレビで流れていた「時報」はなぜ無くなった? 「岩下の新生姜」のCMをもとに調査【福島県】

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岩下の新生姜(写真は筆者撮影)

かつてテレビでは、「〇時をお伝えします」という時報が流れていました。

しかし、いつの間にか時報自体が無くなってしまったことに気付いている人も多いはず。

例えば、福島県民なら懐かしい思い出の1つである「岩下の新生姜」の時報。

「岩下食品が7時をお送りします」

福島中央テレビでは、この時報とともに、ゴールデンタイムの番組が始まっていたのです(例えば、当時は金曜19時台の放送だった『ぐるぐるナインティナイン』など)。

しかし、いつの間にかこの時報が見られなくなってしまいました。

なぜ無くなってしまったのでしょうか。

そこで今回は、「岩下の新生姜」でおなじみ、岩下食品さんに「なぜテレビの時報が無くなったのか」を聞いてみました。そして、時報が無くなってしまった経緯を探ります。

実は岩下食品の時報は福島県のみ

時計イメージ写真:photoACより ゆきのしろくま

福島県出身である人には意外に思うかもしれませんが、岩下食品さんの時報CMは、なんと福島県限定だったのです。

岩下食品担当の方によれば、「福島県のみそうした時報CMを放送したことがあったようです」とのこと。

あれほど印象的な時報が、福島県ローカルだったとは…。この事実にまず驚きます。

時報が無くなった要因は、テレビCMからの撤退

テレビのイメージ写真:photoACより ゆずきんぐ

さらに、担当者の方によると、「岩下の新生姜」のCM自体は関東地方を中心に全国で放送されていたそうです。

しかし、発売初期の商品名認知が達成されたため、同社はテレビCMを縮小していきます。

そして福島県内での時報も無くなったという流れです。

ここまでで、「岩下の新生姜」の時報が消えた理由は分かりました。

しかし、調べているうちに別の疑問が浮かびました。

そもそも、最近のテレビでは「時報」というもの自体をほとんど見ません。これはなぜなのでしょうか。

「地デジ」化が要因だった

アンテナのイメージ写真:photoACより 胡麻油

より詳しい情報を探るべく、福島県立図書館のレファレンスサービスに聞いてみました。

すると、岩下の新生姜の時報自体の情報はありませんでしたが、テレビから時報が消えた要因を発見。朝日新聞夕刊(2003年9月18日付)には、テレビの時計形式の時報が無くなった理由が書かれていました。

これによると、「放送局が電波を送出してから、テレビ画面に表示されるまで、約4秒もの遅れが生じ、正確な時刻を伝えることが不可能になる」ため、時報が無くなったとあります。

つまり、地デジ化により正確な時報が打てなくなったため、テレビの時報が無くなったとのことでした。

今もなお記憶に残る「岩下の新生姜」

岩下食品株式会社社屋(写真は同社提供)

テレビから時報は消えてしまいました。

それでも「岩下食品が7時をお送りします」という声は、当時テレビを見ていた福島県民の頭のどこかに残っています。

正確な時刻を伝える役目は終えても、あの記憶に残る「岩下の新生姜」の時報は、今でも私たちの記憶の中で時を刻んでいるのかもしれません。

安齋慎平

安齋慎平

福島県在住のライター。企業や自治体、政府広報など幅広い領域でインタビュー記事を担当。主な執筆記事に「東急ハンズの中の人に聞く『つぶやきの作法10ヶ条』」や「全職員を巻き込み、自ら改革する市役所を作る!–福島市役所のDXを進めるキーパーソンたちに聞く」など。「デイリーポータルZ」月間新人賞受賞経験あり。

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