日本では昔から「医食同源」という言葉があるように、インドやスリランカの医学ではキッチンファーマシー(台所薬局)という言葉が古くから使われています。
最高の薬は食べ物であり、台所にあるもので病気を予防できるという古来から続く人間の知恵です。
目次
有地家の「台所薬局」が出来るまで
管理栄養士の有地麻依子さん(34)は、泉佐野市でご主人とお子様の4人暮らし。保育園や病院などで管理栄養士として働きながら、仕事と家事、子育てに奮闘していました。
あるとき有地さんは、仕事で栄養指導をしているにも関わらず、自分自身の家族への手料理が手薄になって体調管理が出来ていない事に気づきます。そして、家庭料理で家族の健康管理が出来る、時短で美味しく健康に良いものを調べた結果、「甘酒や麹などをつかった発酵食」と出会いました。
発酵食は体にすんなりととけ込み、内側から健康を支えてくれるといいます。味付けは、野菜本来の美味しさを引き出す力のある発酵調味料を使いました。
有地さんが、台所薬局のように家族の体調を整える発酵料理をたくさん作ることで、ご家族は健康的な食生活を送る事が出来るようになりました。
この「発酵料理をたくさんの人に知ってもらいたい」という思いは、泉佐野市にある女性活躍の地域拠点となる施設「つむぎやAmenty」で店を出すことにつながりました。
「バリューリノベーションズ・さの(VRS)」との出会い
2021年12月に、有地さんは起業や就業を希望する女性の相談に応じて支援する「バリュー・リノベーションズ・さの」(以下VRSと表記)と出会います。
有地さんは、VRSのチラシで『なりわいテーブル』という講座に目が留まりました。このワークショップは、何かやりたいけれど一歩を踏み出せないという方に向けて、「やりたいこと、楽しいこと、無理なくビジネスはじめましょ」をテーマに、最初の一歩を後押しするためのものでした。
有地さんはすぐに「お料理教室として、このVRSが運営している『つむぎやAmenity』を借りたい」と思い、話を聞きに行きます。そこでVRSのスタッフから「『ミライカガヤク』という講座があるので、講座に参加しながら、同時進行でお教室をされてみませんか?」と勧められ2022年2月にまずは週1回(現在は週2回)の教室兼Cafeを『つむぎやAmenity』でオープンさせました。
この「つむぎやAmenity」は、店主が店のコンセプトを決め、SNSなどを使って集客し、サービスを提供します。出店してからも、気づいた点などがあればVRSのスタッフがサポートしてくれます。
有地さんはお店の名前を『nature』としました。自然という意味のとおり、ここのお弁当は体のすみずみまで自然を味わうことができます。
「おやつとカフェ」と書かれた可愛らしい旗が目印で、お店の扉を開けると小さなお子さん連れのお母さんが発酵教室やおやつの情報交換などをしながら楽しんでいます。
店内に入り、「こんにちは」と挨拶すると奥から優しそうな有地さんが現れ、その笑顔に引き込まれました。
店内には、自身の経験を盛り込んだ「発酵弁当」や「発酵おやつ」が並びます。
カフェで販売している人気の「発酵弁当」は1000円で、自家製調味料を活かした主菜に副菜、お米は減農薬のものを使用しています。
年齢を重ねても、ずっと続けていくのが夢
有地さんは、手軽に作れて栄養がとれる発酵料理をたくさんの家庭で取り入れて欲しい、そしてさらに「このノウハウを同じ想いを持つママたちに伝えたい」という思いをもって出店することができました。
有地さんの発酵弁当は大人気で売り切れる日がほとんどです。マフィンはふんわりもちもちで美味しく、ガトーショコラが特に人気だそうです。
有地さんに次の夢はありますか?と尋ねてみました。
「店を出店するとなると、普通は一人で悩んだりするけれど、VRSのスタッフの方が常にサポートしてくれたので安心でした」と笑顔で答えてくれました。
「この経験を活かして、将来は古民家を使って赤ちゃん連れの方でも気軽に参加できる料理教室を始めたいです。年齢を重ね、何十年先でもずっと続けていきたいですね」と話してくれました。
〈店舗情報〉
- つむぎやAmenity
- 〒598-0054 大阪府泉佐野市栄町 4番18号
- 発酵カフェ・発酵料理教室のお店『nature』