山口県萩(はぎ)市から岩国市までの約100キロメートルを結ぶ旧山代街道。山口県周南市鹿野(かの)もこの街道沿いにあり、江戸時代には宿場町として栄え、毎月3のつく日には市も開催されていました。
この市を現代に復活させることで、鹿野がにぎやかになれば……という思いから始まった「いっておかえり鹿野市」は、2024年5月18日の開催で、19回目を迎えます。
雲一つない快晴の下、22の店舗が出店。鹿野地域唯一の小学校である、鹿野小学校児童もスタッフとして加わりました。「いらっしゃいませ!」と、普段は静かな鹿野の町なかに、元気な子どもたちの声が響いていました。
子どもたちは交代でお店の手伝いをしたり、参加者として会場を歩いたり。シンボルの暖簾(のれん)がたなびく会場を走り回る姿も見られます。子どもたちが自由に会場を走り回っている姿は、なかなか見ることができないな、と感じます。
「いっておかえり鹿野市」が開催された当日は、雲ひとつない快晴。かき氷やジュースが大変人気で、カップを持ち歩く人たちをたくさん見かけました。軽食の他にも、多肉植物販売、マッサージやストラックアウトなど、いろいろな種類の店舗が並び、鹿野市を盛り上げます。
本部そばにある鹿野町商工会前では、鹿野さんさ踊り保存会の太鼓体験や、ミニコンサートが開催され、音楽を楽しむこともできました。
子どもたちの声が響き渡る「いっておかえり鹿野市」は、どのような思いを原動力に運営されているのでしょうか。主催団体「鹿野ブランド創出研究会」の洞崎伸治(ほらざき・しんじ)さんに、その思いをうかがってみました。
「鹿野がにぎやかになってほしい、地元の人に元気になってほしい、という思いで鹿野市は始まりました。そのうちに、学校と地域が一体になり、児童と地域の交わりを生み出そうという流れができてきました」
学校と運営をすることになっても、そのコンセプトは変わりません、と洞崎さんは語ります。
「町なかに子どもの声があれば、地元の人も元気になります。子どもたちにとっては鹿野市が学びの場になり、郷土愛をはぐくむことにつながれば良いと考えています」
共催の「未来をつくる鹿野KANOA(カノア)」の大田さんも「鹿野市を通して、普段関わらない人とも交流を持つ機会になってくれればと思います」と鹿野市についての思いを語ります。
たくさんの大人が、子どもたちに対する思いを持って鹿野市をつくり、そこに子どもたちの力……児童の描いた絵がチラシになったり、お店のスタッフになったりという力が加わって、鹿野市がよりすばらしいものになっているように感じます。
子どもたちを加えて、さらなる「元気」を届けるイベントへと成長していく「いっておかえり鹿野市」。
次回、ついに第20回となる「いっておかえり鹿野市」の情報は、公式Instagram(https://www.instagram.com/kanoichi8080/)でも発信されています。
ぜひ、会場の雰囲気を、直に感じていただけるとうれしいです。