積丹町はジン造りに最高のステージ【北海道積丹町】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

 

積丹(しゃこたん)町はジン造りに最高のステージ

北海道積丹郡積丹(しゃこたんぐんしゃこたん)町は、積丹半島の先端にある人口約2000人の町。針葉樹と広葉樹が混交する樹種が多い北海道のなかでも、山・川・海岸の植生が凝縮する「北海道植生の縮図」と呼ばれる土地です。この町では今、2015年から始まった「クラフトジン造り」が全国から注目を集めています。

「積丹町はスコットランドの地形や気候と似ている。そして豊かなボタニカル(植物)が手つかずのまま生きている。森のお酒「ジン」を造るには最高のステージだ」

札幌の木工デザイナー・煙山泰子(けむりやま・やすこ)さんのこの一言がヒントとなりました。

この地方創生プロジェクトを率いるのは、農林水産業のコンサルタントを本業とする岩井宏文(いわい・ひろふみ)さん。

豊かな自然の魅力を発信する媒体として、クラフトジン造りに可能性を感じたといいます。当初、岩井さんは酒造りの素人でしたが、志を同じくする仲間が集い、試行錯誤を繰り返し、遂に世界に一つだけのクラフトジンが誕生しました。

 

日本発・クラフトジンの魅力

「地酒、地ビールはよく聞くが、地元オリジナルのクラフトジンは初めて聞いた」という方も多いのではないでしょうか。

クラフトジンとは、ハーブやスパイスなどを用いて、作り手が様々なアレンジを加えた蒸留酒「ジン」のこと。素材に細かな規定がないため、生産者の個性が強く出るのが特徴です。ボタニカル由来の華やかな香りが特徴的であることから「飲む香水」と呼ばれることもあります。

クラフトジンでは、海外銘柄もふくめボタニカルにユニークなものを使用することが多いのですが、ジャパニーズ・クラフトジンではお茶や山椒など日本の伝統的なものがよく用いられます。国や地域によって香りと味が全く変わるのです。

積丹町のクラフトジン、『KIBOU(キボウ)』『KIBOU BLUE(キボウ ブルー)』

『BOUQUET(ブーケ)』のキーボタニカルとして使われているのは、積丹町産や北海道産の、日本人に慣れ親しまれた植物。そのため日本食にもよく合います。


世界に誇れる積丹スピリットの強み

世界的に見ても、原料を自分たちの手で一から育てているジンメーカーはごくわずか。そして株式会社積丹スピリット最大の強みは「ボタニカルの自社栽培から蒸溜までの一貫工程」にあります。

自社栽培されるボタニカルは、町が保有していた遊休農地約5haを長期で借り、馬が草を食べて肥やした荒地を耕す、地球に優しい耕地化手法を行っています。現在、約80種類の香草植物を栽培。通常の一般的なジンづくりでは行わない手間暇のかかる手法を用いているため、それぞれのアロマが際立つ洗練された味がつくられます。風味の種類は現在、20種類にも及ぶそうです。

 アメリカや欧州をはじめ、今、世界各地ではクラフトジンが観光客に人気を博しています。だからこそ積丹スピリットのクラフトジンは、北海道積丹町の植生を世界に発信できるツールとして期待されているのです。

ブランド名「火の帆(HONOHO)」のロゴには青い「火」が描かれています。青色は、“積丹ブルー”と呼ばれる積丹半島の透き通った海の色。火は、積丹町が火山の造山活動によって形成された土地であること、また夏に行われる伝統の「天狗の火渡り」など、火と強い関わりがあることからデザインされました。火の土地・積丹町で育った人々の想いも込められていることでしょう。

阿部宣行

阿部宣行

山形県山形市

第3期ハツレポーター

山形にある探究教室の講師。子どもたちが熱中できることを見つけ、大人顔負けで実践できるように日々活動しています。ローカリティに参加してからの趣味は写真撮影。子どもたちの視野を広げるために記事を書き、写真を撮っていきます。