奈良県の南東部にある上北山村。
上北山の年末年始には、村内のあちこちで門松を目にします。
お正月らしい風景ですね。
神社やお寺の入口には大きな門松、民家の玄関先にはブーケのように束ねられた小さな門松が飾られます。
都市部などでよく見かける門松は、竹を中心にして松と梅が添えられ、松竹梅の縁起物で作られています。
でも、上北山村の門松は松が主役。村に多く生育する枝ぶりの良いアカマツを中心にして、サカキ、クロモジ、ユズリハ、ウラジロで作ります。杭はシラカシ、杭に結わえるための蔓(つる)にはフジを使います。
材料はどれも近くの山で採れるものばかりです。
稲があまり採れなかった上北山村では、注連縄(しめなわ)を飾る風習はもともとなくて、正月飾りといえば、もっぱらこの松が主役の門松だったらしいです。手近で採れるものでお飾りを作るのは山村らしい文化ですね。
最近では、アカマツが少なくなってしまって、村役場は村民に対して門松を飾らないように推奨しています。山の資源を守るためには仕方がないことですけど、こういう風習が廃れてしまうのは、寂しいですね。
紀伊半島魅力発掘隊Facebookより 2019年1月7日の投稿