世代と地域を超えた繋がりを紡ぐ、秋田のご当地エンターテイメント集団「おはなしボランティアそよかぜ」【秋田県大仙市】

3 min 296 views

あきたの物語」は、物語をとおして「関係人口」の拡大を図ることで、県外在住者の企画力や実行力を効果的に生かした地域づくりを進め、地域の課題解決や活性化を促進する事業として秋田県が2023年度から始めました。秋田県や秋田にまつわる「ローカリティ!」のレポーターや地域の関係者が、秋田県各地の人々の活動を取材し「あきたの物語」を執筆して秋田県を盛り上げています。

秋田県大仙市西仙北地域のこども園や介護施設などを中心に、地域で読み聞かせの活動を25年間に渡って展開している「おはなしボランティアそよかぜ」(以下「そよかぜ」)が、活動に参加・参画する関係人口を募集しています。本記事では、高齢者と子ども達が世代を超えて関わる場を創るそよかぜの活動と、そこで活動する人達の想いに迫りました。

※ 取材・執筆:渡部生(合同会社イーストタイムズ、元大仙市地域おこし協力隊)

おはなしや歌、紙芝居の魔法で地域を照らしてきた「そよかぜ」の活動

「私たちが一番楽しんでいるんだけどね」と語るのは「おはなしボランティアそよかぜ」で代表を務める伊藤真弓さん(57歳)です。そよかぜは、こども園や介護施設などで絵本を読み聞かせたり、歌を歌ったりと紙芝居や秋田弁を交えた小話を披露する活動をしているボランティア団体です。そよかぜの活動は大仙市西仙北地域のみならず、近隣の自治体でも行われ、地域同士の繋がりを作ることにも一役買っています。取材に居合わせたスタッフの方に、そよかぜはどのような団体かと尋ねると、「一言でいうとご当地エンタータイナー集団かな」と笑いながら答えてくれました。

「そよかぜ」結成のきっかけは、先代の代表がボランティア団体の講習を受け、歌や絵本の読み聞かせを行うようになったことから始まります。先代の代表は公務員を退職後、公民館で幼児と接する機会が多くあり、元々本が好きだったことから、絵本の読み聞かせに興味を持ったそうです。その後、1998年にそよかぜを設立し、2023年現在で結成から25年を迎えています。

写真:インタビューに答える伊藤さん(2023年7月3日撮影)

「困難があっても、嬉しいことがあるから続けられる」エンターテイナーたちの胸の内

そよかぜには、多様なバックボーンを持つエンターテイナーが参画しています。この多様さが、関係人口を受け入れるにあたっての強みとなっています。

「もともと子どもが好きで、今の代表の伊藤さんに引っ張られて入団しました」そう教えてくれたのは大友浩(ひろし)さん(71)です。大友さんは絵本の読み聞かせの他にオカリナの演奏なども行うそうです。「見ている人のリアクションがいいとすごく楽しいんだよ」とやりがいを教えてくれた。しかし、ボランティアを継続するには大変なこともあるようで、「冬になると車で1時間を超える道のりはすごく大変」と答えてくれました。

三浦均(ひとし)さん(76)は「もともと演劇が好きだったんですよ。だから気持ちがこっちを向いてくれるとすごく嬉しいんだ」とボランティアに参加する喜びを語ってくれました。ただ、どんなに演劇が好きでも、何を演じるかを考えるのは難しいそうで、「いつもどの本にしようか選ぶのに困ってしまう」と活動の大変さを滲ませました。

地域と世代を超えて広がる活動が評価。厚生労働大臣からの感謝状も

代表の伊藤さんに、活動の中で記憶に残っていることを伺うと「大きくなっても私達のことを覚えてくれている子がいるんだよ」と嬉しそうに答えてくれました。最近では同業の方が県内外から見学に来て「来てよかった」と話しかけてくれる機会も増えており、世代や地域を超えて継続的に関わり続ける関係人口の輪が広がっていくのを感じているそうです。


このように、積極的に地域と関わる活動を行っていることが評価され、そよかぜは2022年に厚生労働大臣から感謝状が送られています。

今後のビジョンについて尋ねると、「学校の先生たちにも魅力を伝えて、高齢者と子どもたちが一緒に楽しめる憩いの場をつくっていきたい」とこれからの活動を通した地域の未来について教えてくれました。

写真:「大人のお話会」の様子(2023年10月2日撮影)

温かさと真剣さ、誰をも受け入れる雰囲気が魅力。「そよかぜ」の舞台裏

筆者と「そよかぜ」との関係は2020年から始まりました。最初は地域おこし協力隊の仕事としての関係でしたが、任期が満了した今でも活動に参加しています。今年も10月2日に行われた「大人のお話会」に参加させていただきました。その時に参加していたメンバーは、なんと20名。ご高齢の参加者が多かったこともあり、会場の雰囲気はとても和やかで「孫ちゃんみたい」とか「若者きた!若者きた!」とか、何かとかまってもらい、大量のお菓子や飲み物をいただきました。

イベントが始まると和やかな雰囲気を残しつつ、メンバーの表情には真剣さも伺えるようになりました。声量や間のとり方、セリフへの気持ちの乗せ方などがとても上手で、演者の一人一人がつくる世界観に引き込まれる感覚がありました。

このように、誰をも受け入れる温かい雰囲気や、表現に向かう真剣さがそよかぜの魅力であると感じます。

写真:大人のお話会で手をたたきながら一緒に歌を楽しむ参加者(2023年10月2日撮影)

エンターテイナーになって、地域を超えて一緒に楽しもう!

そよかぜのメンバーの多くは大仙市西仙北地域の方で構成されていますが、「そよかぜ」の理念に共感し、練習に参加することが可能なら誰でも参加することができます。筆者も、地域外の関係者として参加しています。

そよかぜの活動は、周りの人を楽しませたいという根っからの「エンターテイナー」には持ってこいです。皆様の参加をお待ちしております。

関わりしろ

読み聞かせボランティアへの参画・運営支援

連絡先

おはなしボランティアそよかぜ
支援スタッフ  渡部生 
sho.watanabe@the-east.jp

渡部生

渡部生

サイト管理者兼コミュニティマネージャー

秋田県大仙市

サイト管理者兼コミュニティマネージャー

第1期ハツレポーター
生まれは秋田県にかほ市で、仙台市の大学で建築・まちづくり・震災復興の勉強をして、社会人になってからはデザイン関係の仕事をしていました。
いろんなカタチで地域の魅力を発信できたらと思っています!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です