「ドン」が来た!

秋晴れの午後、閑静な田園に響く「ドン」。


「ドン」とは、米などの穀物に熱で圧力をかけ、一気に開放することで膨らませて作るお菓子のこと。「ポン菓子」ともいうが、秋田の私の住むところでは「菓子」すら省き「ドン」と呼ぶ。

年に数回、近所で見かける「ドン」が来ていたのでお話を伺ってみた。

秋田県南を中心に、日替わりで各地を訪問し「ドン」の製造販売を生業にしているという、仙北市角館に住む林崎光明(はやしざき・みつあけ)さん。


私が行った時はすでに「ドン」が終わって器材を車に積んだ後だったので、残念ながら実演は叶わなかったが、林崎さんの軽ワゴン車の中を撮影させてもらった。


「この機械は、私の爺さんが始めて、親父が受け継いだ後に購入した2台目のもの。最初のは薪をくべるタイプのものだったが、今はプロパンだ。昔ながらの鉄工所がなくなって、壊れても修繕するのが大変だから、壊さないように使っている」と、林崎さん。


ハンドル付きの蓋がある筒状の鉄の容器(写真左側)と、その容器を炙るための装置がプロパンガスとチューブで繋がっている。鉄の容器に米などを入れて蓋をし、熱をかけながらぐるぐる回し、圧力を10気圧まで上げたのち、蓋を叩いて開け、一気に筒状の金網(写真右側)に「ドン!」の音と共に放出させると「ドン」ができる。
 

米ととうもろこし、小袋は300円、大袋は500円でそれぞれ販売している。

栗を「ドン」したものがあったので、食べさせてもらった。米のそれと同じパフ状ではなく、茹で栗と焼き栗の中間ほどの、ホクホクとした味わい。これはとても美味しい!我が家の冷凍庫に昨年から眠っている栗を是非「ドン」したいと思った。

林崎さんによるとこの商売は、林崎さんのお爺様が戦後すぐの数年間していたのをお父様が踏襲し、昭和28年に本格的に始められたそうだ。50年間続けられたのち、林崎さんが受け継いで今年で13年になる。


昔は各地のお祭りやイベントに引っ張りだこ。特に昭和50年代は中学生だった林崎さんとお母様も手伝い、1日中休む暇もないくらい忙しく「ドン」を作ったのがいい思い出だそうだ。
 

「今はあまり売れなくなってしまった。でも時々買ってくれる人がいると本当に嬉しい」
 

味付けも何もしていない、自然そのものの優しい甘みと香りに、活気あふれる懐かしい昭和にタイムスリップしながら、つい、たくさん食べ過ぎてしまった。
 

秋田県内で角館に行ける方なら、好きな食材を持ち込みで自分だけの「ドン」もしてもらえる。
 

米 1.5kg (一升)      1,000円

乾燥とうもろこし1kg           1,000円

栗 1kg                                    600円

乾燥大豆(枝豆・黒豆など)

1.3kg(一升)                       1,000円

問い合わせは080-1802-6332

林崎さんまで。

天野崇子

第1期ハツレポーター / 秋田県大仙市

1968年生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入りました。祖父母も家から巣立ち、子供たちも巣立った今、地元愛を爆発せずにはいられなくなりました。これから爆発しまくってまいります●~*