〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
「みかんソムリエ」が作る梅干し?!
近畿地方南部に位置する和歌山県の那智勝浦町(なちかつうらちょう)。
熊野信仰の聖地「那智山」、日本三名瀑(ばく)の「那智の滝」、温泉などがあり、多くの観光客がこの地を訪れる。町の玄関口はJR紀伊勝浦駅。駅から徒歩1分の広い通り沿いに、中西商店はある。
建物全体がオレンジ色。ひと目で「みかん屋さん」だとわかる外観だ。店内はみかんの他、ジュース、自家製梅干しが置いてある。
お話を伺ったのは、中西商店で地場産品の仕入れを担当している??中西太志(なかにし・ふとし)さん。
「今年は長雨の影響で、美味しい極早生(ごくわせ)みかんの仕入れができていないんですよ」。
例年はもっとたくさんのみかんで店内が溢れかえっているようだ。
中西商店は100年以上続く町の老舗の八百屋さん。太志さんにとっては、幼少期から家業を手伝い、店を継ぐのは「当たり前のことだった」という。
野菜だけでなく、今は紀州みかんや梅の販売にも力を入れている。自称、「みかんソムリエ」の太志さんは、必ず味見してからみかんを仕入れる。だから、お客さんに好みを聞けば、どの農家のみかんがお気に召すかわかるそう。同じ品種のみかんでも、農家のこだわりで味は全く違う。
みかんの話をする太志さんは、まるで少年のよう。生き生きしている。
みかんは毎年9月から翌年5月末までが最盛期。6月は青梅が店内に出される。
青梅は梅ジュース用。黄色く追熟すると梅干し用だそう。店の奥には、太志さん手作りの梅が干されている。
「今年は梅が不作で300kgしか漬けてないです、普通は500kgほど漬けるんですよ」。
太志さんは梅干し作りにも精通している。長年作り続け、塩分濃度、太陽のもとに干すタイミングや時間など、詳しく教わることができる。
「ここで買ってなくても何でも聞いて下さい。インターネットには書いていない、細かなことまで教えられますよ。次の年にうちで買ってくれると嬉しいですね」と笑う。
「お客さんが一番喜んでくれるものを提供したい」。
取材を通じて、太志さんのお客さんへの思い、そして、みかんや梅に込めた愛情を感じることができた。