「仙台弁だっちゃ」久しぶりに実家に帰ったら、父がラムちゃんになっていた件【宮城県仙台市】

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「元気が一番だっちゃ!」

これを読んでいるあなたは、文字を見る限り、あの有名な「うる星やつら」のラムちゃんのセリフだと思うことだろう。しかし、このセリフを言っているのは、歴とした60歳代のおじさんーーー私の父なのだ。

ここは、筆者の地元・宮城県仙台市。
父の名誉のため一言言っておくが、彼は決して可愛い子ぶっているわけでも、ラムちゃんになりたくて口調を真似しているわけでもない。

日本国民が恋したヒロインの口癖「だっちゃ」は、実は仙台弁だったのだーーー!

久しぶりの帰省で事件は起こった

地元を離れて気づく、「これ、方言だったんだ!?」

私は宮城の土地で生を受けて以降、一切転校することもなく、生粋の仙台人としてスクスクと育った。大学卒業と共に地元を離れ、ここ10年近くは東京に住んでいる。

東京に出てきて、最初のカルチャーショックは「だから」が通じなかったことだった。

ちなみに、ここで言う「だから」は俗に言う接続詞の役割ではない。「そうだよね!わかるわかる!」という同意を表す意味である。

会話にすると、こうだ。

「最近暖かくなってきたよねぇ。すっかり春って感じ」

「だから〜!」

さらには、こうだ。

「今日カラオケ行かない〜?」

「だから〜!」

そう返すと東京人は決まって困ったような顔でこちらを見、「だから」に続く言葉を待っているが、私は私で、言葉のラリーが急に止まってしまった理由が分からず、頭にハテナが浮かんでいる。そんな東京1年目だった。多分こういった方言あるあるは、地方出身者の間で度々起きる問題だと思うが、10年近く東京に住んでいる私はどうやら東京弁に染まってきてしまったようだ。

つまり、逆カルチャーショックを受けたのだ。

ある日、久しぶりに実家に帰宅した時のこと。

何気ない日常の会話の流れで父が一言。

「元気が一番だっちゃ!」

時が止まった。

ーーーだっちゃ、だと・・・?

父をはじめとする仙台人が「〜だっちゃ」を使うことは頭で理解していたし、当時はあまりに当たり前に使う日常用語すぎて特に気にしたことはなかった。

しかし、東京に染まりかけていた今の私には、聞き流せない違和感があった。

えらいこっちゃ、父がラムちゃん語を話しているーーー!?

果たして本当にラムちゃんは仙台弁なのか?

仙台駅(※写真ACより)

果たして、ラムちゃんが話す「だっちゃ」の語源は仙台弁であっているのか。

「うる星やつら」の原作者で漫画家の高橋留美子先生は新潟出身。仙台との縁とは?

調べてみると、読売新聞オンラインのインタビュー記事に辿り着いた。そこには、紛れもなく高橋留美子先生本人が「仙台弁が基になっている」と言っているではないか。

https://www.yomiuri.co.jp/culture/subcul/20221026-OYT1T50305

記事によると、井上ひさしさんの半自伝的小説「青葉繁れる(あおばしげれる)」から着想を得たようだ。井上ひさしさんは山形出身の放送作家・劇作家で、学生時代は仙台で過ごしている。高橋先生は、そこで「だっちゃ」に出会ったようだった。

つまり、「だっちゃ」ってどういう意味?これであなたも仙台弁マスター!

冒頭でお伝えした父の一言、「元気が一番だっちゃ!」

初めはギョッとしたが、父はいつも通り仙台弁を話し、ラムちゃんもまた仙台弁を話していた。偶然の一致であり、晴れて父の名誉は守られた。

「うる星やつら」を見てきた人はなんとなく予想しているかもしれないが、「だっちゃ」は「〜だよね」「〜です」を意味している。会話にすると、こうだ。

「やっぱり仙台といえば、笹かまだっちゃ!(訳:やっぱり仙台といえば、笹かまだよね!)」

「だから〜!(訳:わかる〜!)」

補足だが、応用編として、「だっちゃ」業界には「っちゃ」「んだっちゃ」などが存在する。さらに驚くことなかれ、「そうだよ」と一言で返事をしたい時にはなんと「だっちゃ」単体でも使えるのだ。恐るべし、仙台弁。

ほんのちょっと付け加えるだけで、ラムちゃんもしくは仙台弁に早変わりする、なんとも便利で簡単な方言。

みんな、ぜひ挑戦してみてほしいっちゃ!

グミ

グミ

東京都

編集部記者

ローカリティ!編集部
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