沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。
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「ぱいーぐる」それがうちの全てです。11年間続けているSNSが物語る、ぱいーぐるの広報力
「2012年8月に会社を創業して、その半年後から携わっているのが石垣市公認キャラクター”ぱいーぐる”のプロモーションです。うちの仕事はぱいーぐるが全てです、といっても過言ではありません」
全国津々浦々ゆるキャラは存在しますが、石垣市公認キャラクター「ぱいーぐる」はご存じでしょうか?石垣島・八重山諸島に生息する特別天然記念物「カンムリワシ」がモチーフになっているキャラクターです。
スポーツイベントやお祭り、特産品などあらゆる場面に飛んでくる石垣島の有名鳥。そんなぱいーぐるのSNS投稿や運営管理を務める株式会社SHIMAN-CHU REPUBLIC代表取締役の池淵功寛(いけぶち・よしひろ)さんにお話を伺いました。
もともと特産品会社を経営していた池淵さんは、商工振興と観光プロモーションのそれぞれの良さを活かした事業をしたいという想いから株式会社SHIMAN-CHU REPUBLICを立ち上げます。
2013年、南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港開港の際にぱいーぐるが誕生し、半年後から運営に関わってきた池淵さん。ぱいーぐるは我が子のような存在かと思いきや、池淵さんとの関係性は真逆だといいます。
「自分の方が育てられています。創業時期は島の人たちに自分の仕事を知ってもらう、理解してもらうことが大変でした。でもぱいーぐるを育て始めて”ぱいーぐるの人だ!”と認知されるようになりました。ぱいーぐるの横にいつもいる、それが自分でした」
ぱいーぐる運営に関わる時から、島全体をぱいーぐるでつなげ、分断されていたコンテンツをひとつにまとめ、共にプロモーションをしていくことを決意します。
「石垣島を外にPRするために必要なのがぱいーぐる。そのためにこの11年間、毎日欠かさずぱいーぐるのSNSを投稿しています」
島のお祭り、スポーツ大会など地域イベントにぱいーぐるは登場し、物販にはぱいーぐるグッズが並ぶようになりました。こうして経済効果をひとつにまとめる仕組みを育んでいます。
モットーは「島を豊かに便利に楽しく!」島人1人1人が尊重され生きやすい暮らしができるように
もともと北海道出身の池淵さんは10年間の東京生活を経て、石垣島へ移住して来ました。
「かれこれ石垣島に20年住んでいますが、移住者なので外からの視点で島を見ることができるし、島の感覚もわかります。文化や歌だけじゃなくお金も動くように、島の人がやってきたことを伸ばしていきたいと思っています」。
SHIMAN-CHU REPUBLICには行政事業を始め、イベントの運営、商品開発やコンテストの審査員、コンサルアドバイザーや国の経営相談窓口よろず支援拠点コーディネーター、HP制作など幅広い仕事がやってきます。
さらにふるさと納税事業にも携わっており、そのなかでも大きな柱が2つあります。1つ目の柱は石垣島トライアスロンです。
「ふるさと納税の返礼品として販売開始されて3分間で売り切れる人気ぶりです。さらに民間版サステナブルエントリーも始まりました。エントリー料は石垣島で運動部に所属している子どもたちの遠征費などに使われます」池淵さんは従来開催されていたトライアスロンを通して、より島が豊かになるために寄付の仕組みを考案し、実行しています。その仕組みにより参加者は自分の好きなトライアスロンを通して、島で育つ子どもたちを支援することができます。
その結果、石垣島トライアスロンは島内イベントの中でもトップクラスの規模に成長しています。
石垣島をぎゅっと詰め込んだタカラモノをお届け!
ふるさと納税事業の2つ目の柱は、石垣島の旬を丸ごとぎゅっと詰め込んだ”タカラモノ便”を届ける事業です。島の大自然で育つ食材は、島外に住む石垣島ファンにとっても最高の逸品!
タカラモノ便が生まれた背景には、島内事業者の垣根を超えて、より多くの人に島の良いものを届けたい想いがあります。
島の良いものを余すことなく届けるため春・初夏・夏・秋の4期に分けお届けしています。島野菜、魚介類、果物、お肉と、それぞれの食材の旬の中でも更に美味しいものを見極めて詰め込み、届いた方はご自宅で石垣島を楽しむことができます。
「会社は”島を豊かに便利に楽しく”をモットーにしています。楽しいことや石垣島の良いことを発信するのは当たり前で、それをどうフィードバックしてより豊かにするかが大切です」
今まで培った経験から細かな情報を共有することや、スタッフの育成をすることもできるといい、あらゆる仕事や相談に対してオープンな姿勢の池淵さん。そのために必要な心構えは、できるだけニュートラルな状態において、外からきた感覚を出せるようにすることだといいます。
個人の力を集めれば石垣島がモデルケースになる。さらに豊かな島になるために必要なのは人の力
「僕の一番の理想は、石垣島がモデルケースになる事例が増えてほしいです」
高校までしか進学先のない石垣島。それは他地方でも同様だと言えます。その対策の一歩として構想しているのがアジア国立大学の誘致だそう。
「20代の働き手が増えると、観光やサービスも活性化して切磋琢磨するようになります。そうすることで質の向上を図ることができます。外部要素などと連携して、潤うような仕組みを作り、沖縄の離島のモデルケースになりたいですね」
最後に「最終的には石垣島が儲かる島にならないといけない」と、語ってくれた池淵さん。観光が強みの石垣島。今後どう発展していくか、冠をつけた鷲「ぱいーぐる」が石垣島というREPUBLIC(共和国)を、「より豊かで便利な楽しい島」へと導いてくれるに違いありません。