千葉県浦安市に2020年にオープンした『l’atelier de nono(ラトリエ ドゥ ノノ)』は、あえてケーキではなく、焼き菓子をメインにした街のお菓子屋さんです。
その中にあるカフェで2021年7月から始まった、果物を使った「究極の」パルフェ(フランス語で「完璧な」という意味、パフェのこと)を頂いてきました。
8月のテーマは「桃」です。
パルフェは1日10食。完全予約制で、お店に伺うとまずカウンターに案内されます。
席に座って待っていると、現れたのは、シェフパティシエの野々山裕司(ののやまゆうじ)さん。
大ぶりなグラスが目の前に置かれ、「では始めさせて頂きます」とパルフェの組み立てが始まります。
フランス産の赤桃を煮た「コンポート」、赤ワインのジュレ、その上にバニラクリーム。その都度笑顔で説明をしながら、丁寧に食材を重ねていく野々山さん。
甘い香りとともに、ゆったりとした時間が流れていきます。
クリームの上には、お店の看板メニューであるバターをたっぷり使った焼き菓子「フィナンシェ」を低温で乾燥させたサクサクの生地(フィナンシェロッシェ)、そして白桃のコンポート、赤桃と白桃のソルベ(シャーベット)。
グラスの中はすでに美味しいものでいっぱいです。
さらにグラスのふちにピンクペッパーとアーモンドのメレンゲで作ったドームを乗せて、その中に赤桃のクリーム、白桃のコンポート、白桃とミントのジュレを入れていきます。
最後に飴細工のドームでフタをして、ようやく完成。
パフェというと普通は上から食べると思いますが、このパルフェは、まずメレンゲのドームをお皿に取り出すことで、上も下も真ん中も、どこからでも食べられるようになっています。
私はまずソルベから。
冷たい。甘い。酸っぱい。赤桃のソルベは酸味のパンチがあって、白桃のソルベは優しい甘さです。
そして白桃のコンポート。「桃うまっ」と思わず声が出る、とにかく美味しい桃。
フィナンシェロッシェのサクサクと下の赤ワインのジュレも掘り起こしながら、少しずつ混ぜて食べると、また違った味わいが生まれます。
少し食べ進めたら、お皿に取り分けたメレンゲを割ってかじるとピンクペッパーがピリッと舌を引き締めて、また甘味に戻りたくなります。
メレンゲのドームの中もまた一個の違うケーキのようにクリームやジュレのハーモニーが楽しめます。
そして最後は飴も崩してグラスに戻し、全部を混ぜて食べたら食感が楽しい。パリパリやサクサクに溶けかけのソルベ、もったりとしたクリームに“トゥルトゥル”なジュレ。
かなりボリュームのあるパルフェでしたが、最後まで美味しく頂くことができました。
東京生まれの野々山さんは、修行を重ねてここ浦安にお店を構えました。「ノノ」と自分の名前をつける以上は100%自分の色で、自分が美味しいと思ったものを提供したいそう。
「スタッフとともに、自分たちが楽しいと思いながら作ったお菓子で、街の人に喜んでもらえたらうれしい」と語ります。
カフェでパルフェを始めたのは、出来たての美味しいお菓子を食べてもらいたいという思いだけでなく、お客様とコミュニケーションを取りたいという思いが大きいそうです。
その思いの通り、カウンター越しの心のこもった「おもてなし」に癒される人が続出。
パルフェは税込2,880円という、ちょっと勇気のいるお値段ですが、素材の良さと手間ひまかけた美味しさ、そして野々山シェフと過ごす時間は、凝り固まった心がほぐれていくような、幸せな時間でした。
「毎月違うパルフェを考えるのはとても大変ですが、試行錯誤する時間も楽しく、お客様に喜んで頂けると本当にうれしいです。いらして頂いた時に次の予約をされる方もいらっしゃいます」という通り、私も自分へのご褒美にまたぜひ来たい、なんなら全種類制覇したい、と思ってしまいました。
今後は地元のお客様を大切にしながら、ゆくゆくは日本全国、「ノノのお菓子を食べに浦安に」と思ってもらえたら、という野々山さんのチャレンジを応援したいと思います。
ノノパルフェ
毎月新作!季節のフルーツを使ったパフェ
9月は「葡萄」とのこと
税込2,880円(プラス300円で飲み物がつきます)
l’atelier de nono