〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
和歌山県の代表的な特産品である「梅」。そんな梅を、主に飲料として開発し続け、現在では様々な加工品を販売している会社が和歌山県の上富田町にあります。創業から変わらぬ「地域のもったいないを利用して価値ある商品に」「農家さんの収入を安定させ、地域の力の底上げをする」を使命に取り組み52年目となる、プラム食品株式会社の専務・長井俊曉(ながいとしあき)さんにお話を伺ってきました。
「創業当時は、傷のある梅などは全て破棄されていたんです」
創業当初のお話を聞いた私に長井さんはそう答えてくれました。当時は梅の加工品と言えば梅干しが主流であり、見た目が良くない傷のある梅は捨てられ続けていました。農家さんの収入が安定しない中、「傷のあるもったいない梅を利用できないだろうか?」という思いから、恐らく日本初となる梅の果汁を抽出する方法を確立し、梅ジュースを販売する会社として1969年にプラム食品株式会社は創業しました。
レトロなパッケージが可愛い缶の梅ジュース「プラムハニップ」は、酸味を抑えるためにはちみつを加えてあるので非常に飲みやすく、デザインは創業時から変わらず発売し続けています。現在ではロングセラー商品をご家庭でもっと楽しんでいただこうと「希釈用梅ドリンク 梅ハニップ」なども含め、様々な加工品が販売されています。
梅はコストを下げられる自社栽培ではなく、今も地域の農家さんから買い取り続けています。創業当時の思いを貫きながら、「もったいない梅」を価値のある商品に変え続けてきました。梅ジュース以外にもたくさんの商品を提供していますが、商品開発をしても自社で技術を抱え込まず、特許も取らず、地域のみんなが作れるように技術提供をし、加工品作りのお手伝いもしています。
現在創業52年を迎えるプラム食品株式会社。長井さんは次の50年に向けて、梅だけではなく、蒸留酒の事業を新たに始めたのだとお話しを続けてくれました。
梅やみかんなどのかんきつの香りを移した、和歌山らしい蒸留酒を作るそうで、始めた理由も「上富田は水が豊富でとても美味しい場所です。そんな豊富な水を他に利用できないかと考えたのです。飲料施設が自分の会社にはありましたからね。蒸留酒なら香り付けとして、もったいない梅やみかんも使うことができる」とおっしゃっています。現在会社がある上富田町の豊富で美味しい水と、和歌山の「もったいない」を使って次の50年を目指すのです。
プラム食品株式会社は、地域の課題に目を向け、価値あるものに変え続ける、素敵な事業者さんでした。