ローカリティ!時代の開拓者たち

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世界屈指のサイバーセキュリティ企業が、最先端技術の先に求める「大切なものを守る心」【東京都新宿区】

4 min
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代表取締役副社長・大三川彰彦さん

フィッシング詐欺のメール。
子どもたちが日常的に使い始めたAI。
企業を狙うサイバー攻撃。

いま私たちの生活は、常に“デジタルの危険”と隣り合わせにあります。

そんな社会の裏側で、世界中のデジタルインフラを守り続けている企業が、セキュリティソフト「ウイルスバスター」で知られる、世界屈指のサイバーセキュリティ企業、トレンドマイクロ株式会社です。

AI時代を見据え、最先端の脅威と向き合い続ける同社。しかし今回の取材で最も印象的だったのは、高度な技術の話だけではありませんでした。

「守るべきものは何か」

代表取締役副社長・大三川彰彦(おおみかわ・あきひこ)さんが繰り返し語っていたのは、変化する時代の中で「守るべきもの」を見極める姿勢でした。

なぜトレンドマイクロは、37年間にわたり世界の最前線で戦い続けることができたのでしょうか。

その原点には、創業以来変わることのない「大切なものを守る」という思想がありました。

「デジタル社会を守る」創業から変わらない思想

トレンドマイクロは1989年、スティーブ・チャン氏、ジェニー・チャン氏、エバ・チェン氏の3人によって設立されました。

創業当初はソフトウェアの不正コピー対策などに着目していましたが、コンピューターウイルスという新たな脅威の登場を機に、「これからの時代に必要なのは“守る技術”だ」と方向転換します。

「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現」

このビジョンは、その当時から変わることなく、現在も同社の根幹にあります。

「ネットワークが広がり、AIが社会に浸透するほど、守るべき場所も複雑になります。インフラが変われば、ユーザーの行動が変わり、脅威も変わる」。大三川さんは、ITが発展すれば脅威も変化していくことを強調します。だからこそ同社は、「何を守るべきか」を見極め、解決策を出していくことを重視してきました。

そしてもう一つ、大三川さんが口にした言葉があります。

「柔軟性を持って、過去の成功体験にはこだわらない。常に明日しか見ない」

変化を前提とする世界で、守り続けるために変わり続ける。その思想こそが、同社の強さの源泉でした。

「困っている人」を守る。サイバーセキュリティ企業が育てる文化

トレンドマイクロの技術は、何のために磨かれているのか。

今回の取材で見えてきたのは、最先端の脅威に向き合う企業の根底にある、「人のため」に力を尽くすという文化でした。

サイバーセキュリティの世界では、脅威を見抜く力やシステムの弱点を理解する力が求められます。その知識は、使い方を誤れば、人や組織を危険にさらす力にもなり得ます。

だからこそ大三川さんは、「トレンドマイクロの強さは技術力だけでなく、『誰かの困りごとをなくしたい』という課題解決を最優先に考えるカルチャーにある」と語ります。

知識を悪用する側には行かない。困っている人や組織を守る側に立つ。
その価値観が、トレンドマイクロのエンジニアたちの根底にあります。

国内外でボランティア活動も。人を守ることは企業文化そのもの

『誰かの困りごとをなくしたい』という思いは、製品やサービスの提供の枠を超えて息づいています。

同社では創業以来、「良い心を育てる」という考え方を大切にしてきました。その象徴が、世界各地で行われているボランティア活動です。

東日本大震災、能登半島地震では、被災地支援を実施。フィリピンでは、恵まれない環境にある家族が、より良い未来を築けるよう支援をするホームビルディングプログラムを展開し、世界中の社員が現地の人々とともに活動を続けています。

第64回トレンドマイクロスマイルプロジェクト:能登半島地震ボランティア(トレンドマイクロ株式会社提供写真)

「皆さんのために、僕らは存在するんだよね」

大三川さんが話すようにそれは単なるCSR活動ではありません。同社にとって、人を守ることは企業文化そのものなのです。

また、子ども向けのセキュリティ教育にも力を入れています。

学校からの依頼を受け、社員がボランティアでセキュリティ教室を開催。最近ではAI教育も自社で教材を作りながら進めています。

さらに、国際犯罪の防止や捜査協力のために世界各国の警察機関によって結成された国際刑事警察機構 (インターポール)と連携し、世界各国の警察機関に対してサイバーセキュリティ教育も実施しています。

世界を守る企業の根底にあったのは、最先端技術ではなく、「人」を守るという思いでした。

「守るべきもの」を見失わないためのフラットな組織文化

トレンドマイクロの組織文化にも、同社らしい思想が色濃く表れています。

「スターはいらないんですよ」

大三川さんが話すように、同社では一部の突出した人材ではなく、チーム全体で力を発揮することを重視しています。2020年からは、世界的に組織改革も進めてきました。

「階層があると、変化に追いつかない、若い人たちにどんどん活躍してほしい 」

同社では、階層を大幅に減らし、フラットな組織へ移行。部署の壁を越え、プロジェクトベースで動く体制へと変化しています。

AI時代は変化のスピードが極めて速く、従来型の組織では対応できない。だからこそ若手に積極的に挑戦の場を与えているといいます。実際に、組織改革後は若手社員が大きく成長したと大三川さんは振り返ります。

また、コロナ禍以降はグローバルでのオンラインコミュニケーションも増加。役職に関係なく意見を出し合う文化がさらに強まったといいます。

個人の力に頼るのではなく、必要な人がつながり、互いの知見を持ち寄りながら前に進む。「スターはいらない」という言葉の背景には、誰か一人が組織を引っ張るのではなく、チーム全体で変化に向き合っていくという、守るべきものを見失わないための考え方がありました。

「守るべきもの」を見える化する、AI時代のセキュリティ

現在、トレンドマイクロはAIを活用した新たなセキュリティ戦略を進めています。

企業向けには「Trend AI」を展開。膨大なセキュリティデータをAIで分析し、脅威を可視化・効率化することで、複雑化するセキュリティ運用を支援しています。

また個人向けには「TrendLife」を展開し、詐欺対策サービスにも注力しています 。

近年増加するSNS詐欺やフィッシング詐欺に対応するため、「詐欺バスター」などのサービスを提供。怪しいURLやメッセージをAIで解析し、危険性をユーザーへ伝えています。

トレンドマイクロが目指しているのは、複雑化するデジタル社会の中で、どこにリスクがあり、何を優先して守るべきなのかを見えるようにすること。それが、AI時代にトレンドマイクロが提供しようとしている新しいセキュリティの価値です。

「大切なものを守る」という思想が、未来をつくっていく

AI、自動運転、スマートシティ。
これから社会は、さらに大きく変化していきます。しかし、どれだけ技術が進化しても、トレンドマイクロが見つめているものは変わりません。

「お客様の困りごとを見て、聞いて、そこに対して解決策を出していく」

その姿勢があるからこそ、同社は37年間、世界の最前線で戦い続けてこられたのです。

世界屈指のサイバーセキュリティ企業が、最も大切にしているもの。それは、最先端の技術そのものではなく、「大切なものを守る」という揺るぎない思想でした。

もっとも印象に残った言葉:「皆さんのために、僕らは存在するんだよね」

聞き手:丸山夏名美 書き手:天野崇子
写真撮影:丸山夏名美・天野崇子(提供写真を除く)

企業情報

企業名:トレンドマイクロ株式会社
取材対象:取締役副社長 大三川彰彦さん
ビジョン:「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現」
事業内容:コンピュータ及びインターネット用セキュリティ関連製品・サービスの開発・販売
所在地:東京都新宿区新宿4-1-6 JR新宿ミライナタワー
HP:https://www.trendmicro.com/ja_jp/business.html

天野崇子

天野崇子

第1期ハツレポーター/1968年秋田県生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入って30余年。

ローカリティ!編集部のメンバーとして、みなさんの心のなかのきらりと光る原石をみつけて掘り出し、文章にしていくお手伝いをしています。

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