“新潟の海と砂のテロワール” 風土を醸すワイン造り ワイナリーフェルミエ【新潟県新潟市】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

 

信濃川が育む大地、佐渡島に沈む夕日…自然が新潟の魅力をつくる

新潟市役所提供(新潟市CC-BY2)

信濃川と阿賀野川の両大河が、広大な越後平野を潤しながら、ゆったりと日本海へと流れ込むーー。荷積みした商船が海と川を行き来する「みなとまち」として古くから栄えてきた新潟市は、水が豊富な土地柄ゆえ米や農産物の一大産地です。

自然にも恵まれています。特に海岸線の眺めがとても美しく、晴れた日の暮れには、北西の佐渡島方面に沈む夕日が見られる絶景ドライブルートが「越後七浦シーサイドライン」をはじめ、いくつもあります。

「フェルミエ」があるのは、その越後七浦シーサイドラインの起点からほど近い、角田山の山麓(新潟市西部)になだらかに広がる丘陵地の一角です。

“新潟の海と砂のテロワール” 風土を醸すワイン造り

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フェルミエはブドウを育て、ワインを醸造するワイナリーです。信濃川と阿賀野川が日本海に放流した砂や泥が海岸沿いに堆積し、それが偏西風により陸側に吹き上げられ、長い年月をかけ形成された海岸砂丘の上に位置しています。

その環境と、ブドウ本来の性質、どちらも尊重してブドウを生育することに強いこだわりがあります。化学農薬を使わない畑では、自作した「バチルス菌」を散布したり、風通しを良くして病気を防いだりと、土壌やブドウにとって最善の方法を尽くし、愛情を込めて育てています。そうすることで「ブドウそのものの味わいや表情が出てくる」と、フェルミエ代表で栽培家・醸造家の本多孝(ほんだ・たかし)さんは話します。

ワインを醸造するためのブドウをとりまく環境すべてのことを、フランス語で「テロワール」と言います。土壌だけではなく、ブドウに対する生産者の愛情、周囲に広がる美しい景観さえもワインの味の決め手となるのです。

「ファインワイン」を造る

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本多さんは、ワインの魅力に魅せられ、2005年に大手証券会社を退職し、翌年にフェルミエをオープンしました。「一番力を入れているのは畑と、発酵が始まるまでです。ブドウの表面などについている酵母が活発に働きだしてくれれば、あとは酵母の力にまかせるだけです」。

こうして自然の力を信頼することが、本多さんが世界水準のワインを作る原動力にもなっています。「大きな施設や資本のもとでなくとも、土地やブドウとの信頼関係を築き、少人数でも効率よく作業に当たる工夫をすれば、世界に通用する上質なファインワインを造ることができる」と力強く話します。「ファインワイン」とは広い知識や高い専門性が求められる高品質なワインのことです。本多さんにとってのファインワインは、「その土地の特性が素直に現れるワイン」です。

ワインを一口飲むと、新潟の海と砂の景色が広がるーー。本多さんに信頼され生き生きと表現をはじめたブドウが織りなす、そんな上質のワインがこれからも進化を続けていきます。

天野崇子

天野崇子

秋田県大仙市

編集部編集記者

第1期ハツレポーター/1968年生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入って30年。

ローカリティ!編集部の一員として、みなさんの心のなかのきらりと光る原石をみつけて掘り出し、文章にしていくお手伝いをしています。