途絶えさせてはいけない!座間味の特産品を復活。しまんちゅの思いをつなぐおばあの伝統の味ローゼルジャム【沖縄県座間味村】

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沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。

沖縄県の座間味島(ざまみじま)でハイビスカスの仲間であるハーブの一種「ローゼル」を栽培し、座間味島の特産品としてローゼルジャムを製造しているルミナス合同会社「座間味ガーデン」の宮里美乃里 (みやざと・みのり)さん。2023年3月から、約35平方メートルの畑で約80本のローゼルを栽培しています。農業未経験だった宮里さんが一転してローゼル農家になるきっかけは何だったのでしょう。宮里さんにお話を伺いました。

夫の転勤で座間味に引っ越し

宮里さんが座間味に引っ越すことになったのは、中学校の教員であるご主人の転勤がきっかけでした。宮里さんとご主人はともに沖縄本島出身であるものの、ご主人のお父様が座間味出身で、ご主人自身も子供のころから年末年始やお盆には座間味で過ごしてきました。ご主人にとって沖縄本島よりも座間味に特別な思い入れがあるとのこと。ご主人の大切な故郷である座間味への転居を機に、宮里さんも「島のために何か役立つことをしたい」という思いが芽生えました。

座間味の特産品…少ない現状

宮里さんは、引っ越しの挨拶として座間味島の特産品を県外の友人や親戚に送ろうと考えました。以前、別の離島に住んでいたときは、地元のゼリーやジャムなどを頻繁に購入し、贈り物として発送していたため、座間味島でも同様の特産品が豊富にあると期待していました。しかし、島の特産品売り場を訪れたところ、そういった商品が見つけられず、周りの人々に尋ねても「今は特産品を作る人は少なくなった」という答えしか得られませんでした。「島のために何か役立つことをしたい」という思いは、「座間味の特産品作りで島の役に立ちたい」という思いに。

島の住民に聞いた話によると、かつて、特産品作りの機運が高まっていた頃があり、月桃(げっとう)を使った特産品作りの案も出ていたそうですが、実現には至らなかったとのことです。山にいけば自生している月桃やヤマモモなど使えそうな資源は存在していましたが、これといって何をするか決めきれない状況だった宮里さん。そんな中、ローゼルと運命の出会いを果たすことになります。

ローゼルに出会って「ビビビッ」

「ローゼルを特産品にしたい」という思いの一番の決め手となったのは、かつて座間味の一大産業だったこのローゼルジャムが大人気にも関わらず後継ぎがいないため衰退し、作り手であるキクさんがローゼル畑を辞めてしまうという現実に直面したことでした。

元々ローゼルを原料とするハイビスカスティーが苦手だったという宮里さん。キクさんの作ってくれたローゼルジャムをはじめ、ほかの漬物やドレッシングなどの料理の味に感動し、ローゼルは加工次第でこんなにおいしくなるのかと衝撃を受けたそうです。

キクさんは以前、座間味島の特産品としてローゼルジャムを販売し、県外の沖縄のアンテナショップ的存在である「わしたショップ」に納品するほどの手腕を発揮していた熟練の農家でした。キクさんの栽培していたローゼルは島の重要な産業の一つであり、多くのアルバイトを雇うことで地元の雇用創出にも寄与していたそうです。地元の人々も「あのローゼルジャムは人気だった」と語るほど、キクさんの商品は愛されていました。

しかし、キクさんの後を継ぐ人はおらず、「来年からはもうできないかもしれない」と話すキクさんの言葉に「もったいない、これを絶やしてはいけない」という強い使命感を感じた宮里さん。この出来事がローゼル栽培を継承し、特産品として復活させるための大きな動機となったのです。
宮里さんの「座間味島の役に立ちたい」という願望は「ローゼルジャムの特産品作り」という形で結びつきました。まるでローゼルに導かれたかのように、キクさんとの出会いは運命的で、ぴったりなタイミングで起こった出来事だったのです。

2023年に販売していたローゼルジャムは、まだ宮里さんの畑でローゼルが収穫できなかったこともあり、キクさんの畑で最後に収穫をしたローゼルを使用しています。宮里さんはキクさんの伝統や歴史、思いをセットで一緒に引き継いだといえるかもしれません。2024年からは宮里さんの畑で採れたローゼルが店頭に並ぶことでしょう。

座間味の人に惹きつけられる

座間味には、地域で子供たちを育てるという熱意があり、子供たちは地域の人に見守られて愛されて指導もされていくという風土が根付いています。地域の方が島の子供たちにサップの漕ぎ方を教えるなど、地域貢献に対する情熱を持った人々が多くいます。子供たちの下校時には警察官や地域の人々が校門に立ったり、ビーチクリーンなどのボランティア活動に取り組んだり、地域全体で安全を確保するために協力しています。水着姿で集落を歩くことを禁じるなど、地域の秩序を守るためのルールも徹底しています。

有名なアーティストは一切来ない、座間味の人々が出し物をするという「ファン感謝祭」が毎年11月に開催されます。この時期は「ファン感謝祭」が目的で県外からやってくるコアな座間味ファンでにぎわいます。座間味の人には、人を惹きつけるとてつもない魅力が備わっているようで、座間味に一度来るとリピーターになってしまうようです。宿のお客さんもリピーターで成り立っています。

宮里さんは座間味の人々が大好きだといいます。掴んで離さない、惹きつけてやまない座間味の魅力的な人々の存在は、「座間味を守りたい、貢献したい」と感じる大きな理由の一つになっているのかもしれません。

座間味を訪れた人の満足度アップに貢献

途絶えてしまったローゼルジャムを特産品として復活させた宮里さん。「自分が旅行者だったら、旅行先にお土産がたくさんあるとうれしいです。これからはお土産を買ってもらうことによって、座間味に来た人の満足度アップに貢献できたらとてもうれしいです。家に着いた時にも座間味のお土産を持ち帰ってほっこりとした気分になってほしい」と願っています。


宮里さんはローゼル栽培を通して、農業は本当に大変だということを実感したそうです。「元々山に自生している植物を活用する方が、ほかの方も参入しやすいのであればどんどん新しい取り組みを応援していきたい。一人でやるのではなく、いろいろな人と関わりを持ちながら座間味をもっと盛り上げていきたい」と語ります。

座間味はマリンレジャーをはじめ、海が注目されてはいますが、野にもたくさん楽しさ、魅力があります。夏のハイシーズンが終わると11月頃から来島者が減っていくので、ぜひ秋にも来ていただき、お土産にはぜひ「座間味島のローゼルジャム」をお買い求めください。

座間味ガーデン

https://www.instagram.com/zamami_garden

坂本友実

坂本友実

静岡県富士宮市

編集部記者

「生き物の精密模型」という非常に限定的な市場で、ニッチな商品を届け方を追求した経験から、いいものなのにマイナーすぎて売れない、伝えるべき人に伝えられなくて歯痒い、という問題を解決したく、媒体にぴったりなアプローチによって「伝えたい想い」を「届けるべき人」に届け、機会損失をなくしていきたいです。

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