
キッチンカーや屋台が並ぶ春まつりの会場で、ふと目に止まった小さなラムネスタンド。
そこには、息子の1型糖尿病をきっかけに活動を始めた父の思いがあった。
1本のラムネが、病気への理解を静かに広げている。
目次
レモネードスタンドならぬ、ラムネスタンドとは

2026年4月18日、愛知県名古屋市北区の志賀公園で開かれた春まつり。
そのにぎやかな会場の一角に、ブルーのカウンターが印象的な「ラムネスタンド」が設けられていた。
祭りでラムネを売る店は珍しくないが、なぜか気になって足を止めた。

ラムネスタンドとは、小児がん支援で知られるレモネードスタンドに着想を得て、「Type1Dreams」というボランティア団体が考案したチャリティー活動である。
「低血糖時にラムネ菓子」というのは、患者にとって一般的なのだそうだ。
糖尿病のイメージカラーがブルーであること、ラムネ飲料にブドウ糖が含まれていることから、1型糖尿病の啓発と支援を目的として、ラムネ飲料を販売している。
息子の発症が活動の原点に

ラムネスタンドを出店していたきょっぺさんに話を聞いた。
活動のきっかけは、2022年、当時1歳8カ月だった息子が1型糖尿病と診断されたことだった。1型糖尿病は、インスリンを作る膵臓のβ細胞が壊され、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなってしまう病気だ。
血糖値を保つためには日常的なインスリン投与が欠かせない。幼い子どもの場合、本人の負担はもちろん、家族の生活にも大きな影響が及ぶ。
同じ境遇の家庭では、子どもが通っていた園を退園しなければならないケースや、親が仕事を辞めざるを得ないケースも見聞きしたという。
きょっぺさん自身「お菓子を食べさせすぎたのでは」といった誤解に基づく言葉を受けることもあった。
「1型糖尿病は、生活習慣が原因ではありません。誰にでも起こりうる自己免疫疾患なんです」
社会的な理解不足に直面した経験が、活動の原点となっている。

1本300円のラムネが理解を広げる
「Type1Dreams」の活動に共感したきょっぺさんは、現在会社員として働くかたわら、休日を利用して愛知県内のイベントを中心に出店している。
ラムネは1本300円で、収益はすべて「日本IDDMネットワーク」を通じて1型糖尿病の研究機関へ寄付される。

ブースでは、きょっぺさんがラムネを手にした来場者に声をかけ、1型糖尿病について伝えている。
ニコニコしながら話す姿は、思いのほか楽しそうだった。
病気の啓発や支援活動と聞くと、どこか構えてしまいがちだが、目の前のきょっぺさんは、ラムネのように軽やかで、前向きな空気をまとっていた。
「まずは1型糖尿病について知ってもらうことから。啓発や支援を目的としていますが、楽しく活動できたらいいなと思ってるんです!」

筆者もラムネを1本購入した。
手渡されたボトルは、キリッと冷えていた。
味は、どこにでもあるラムネと変わらない。
自作のラベルが貼られている以外に特別な違いはない。
けれど、背景を知ったあとでは、ただの飲み物には思えなかった。
青いラムネ1本が、病気への理解をゆるやかに広げていく。
公園の片隅で、さわやかな風に出会った。
撮影はすべて筆者(2026年4月19日撮影)
情報
きょっぺさんInstagram:https://www.instagram.com/kyoppe3113/
イベント出店のほか、常設のラムネスタンドが愛知県内に現在5か所あります。
- 【名古屋市昭和区】バナナ焼きのパピリカ
- 【愛知県碧南市】珈琲家族
- 【名古屋市緑区】GreenParkGallery
- 【名古屋市南区】えすこパン
- 【名古屋市南区】CafeJune
Type1Dreams Instagram:https://instagram.com/type1dreams0401





