「あのチラシがなかったら…」会社を好転させたある社員の熱意。目指す新潟との‟共存共栄”【新潟県燕市】

4 min 12 views

ケーネット株式会社 代表取締役
Keigo Shimizu
清水 啓吾氏

2019年にECサイトを得意とするWeb制作会社として産声を上げたケーネット。Webの制作・管理を主とする業務を今も続けるその裏には、「ある1人の従業員の存在が大きかった」と代表の清水 啓吾(しみず けいご)さんが話してくれました。地域と「共存共栄」を目指しているという清水さんに地元で愛される企業となるその背景にあったストーリー、展望についても伺いました。

実は一度起業に失敗!?経験を積んでからの再チャレンジ。

会社立ち上げまでの経緯を教えてください。
大学を卒業してUターンという形で新潟に戻ってきました。最初に勤めたのは鉄鋼商社。当時は阪神大震災があったり、長野オリンピックがあったりして建築業界が慌ただしくなるのにともない、金属系の業界もすごく忙しくなった時期でした。あまりにも激務が続き、体調を崩してしまい、転職しました。
金融関係の先物取引の営業職というまったく畑の違い業種についたら、結構水が合っていて、そこで知り合った同僚と2人でホームページを作る会社を起業しました。

その時期に起業した会社が現在の御社なのでしょうか。
いえ、違います。今考えるとパソコンは好きでしたし、得意ではあったけれど、当時の僕には専門的な知識はあまりありませんでした。ほとんど仕事もない状態が続いて、2年ほどで会社をたたむことになりました。
それからは、より知識をつけるために、Web制作会社を2社ほど渡り歩いて、スキルアップを図り、2019年にケーネットを起業することになりました。

もともと起業したいという気持ちはあったのでしょうか。
僕自身、独立志向は強いほうだと思います。Webの仕事はずっと何かしらで携わりたいと思っていて、一度会社をたたんだあとも、起業したいという気持ちはずっと持っていました。

起業当時は今ほどインターネットが普及していない時代。苦労されたことも多かったのではないですか?
独立する直前まで勤めていた会社の社長が独立当時の僕を非常にバックアップしてくれたおかげでなんとかできたというのが正直なところです。当時ホームページを作る仕事はあるにはあったのですが、そこまで数が多いわけでもなく、僕自身のスキルもまだまだでした。
そんななか、前職の社長がパソコンサポートの仕事を僕に引き継がせてくれたんです。家電量販店でパソコンの回線手続きやパソコン自体の使い方のサポートをする仕事を1年くらいやらせていただきました。このパソコンサポートは、企業に出向くことも多く、現場でホームページ制作の依頼を受けることもあり、新規開拓を行うこともできました。

最初の従業員が会社の転機。ワクワクと行動力が仕事を生み出す

最初に手掛けたホームページについてお聞かせください。
起業当時、他社との差別化を図るために弊社はECサイト制作を強みとしていました。マイクロソフトのASPというWebサーバーで動かすプログラムを使って商品の閲覧から購入までがスムーズにできるようにしたホームページを作っていました。

ECサイトはものづくりの町・燕三条エリアには非常にマッチしていそうですが、そういった地の利はありましたか?
実は、この場所で起業した理由の一つにこの場所の地の利を活用したいという思いもありました。しかし、実際はそういったことはほとんどありませんでした。名刺代わりにホームページを作るという企業はありましたが、そこで物を売るという発想まで持っている会社さんは当時、そうはありませんでした。
そのため、最初にいただいたECサイト制作の仕事にはかなりの熱を持って臨みました。寝る間も惜しんで、アイデアが出たらパソコンとにらめっこして、SEOも万全に整えて……。その結果、当初の予定を遥かに上回る売上をたたき出し、別の会社さんからも依頼が来るようになり、そこでまた別の会社さんとつながり、徐々に好転していくようになりました。

そういったなかで、今のケーネットにつながる転機となった出来事はありますか?
11年、最初に採用した従業員さんが私にとって人生の転機となる人でした。燕出身の女性で、デザインの仕事をしたいという気持ちを強く持っている人で、4月に入社してすぐにいろいろと提案してくれました。チラシやパンフレットを持ってきて「こういうのをやりたい」と。
当時の僕にはDTPの知識がなかったのですが、「私はデザインからデータ入稿まで一貫して全部できます。だから、やりましょう」と言って、すぐにチラシの見本を作ってくるんです。それを持って、僕が営業に回って、チラシの制作をどんどん受注してきました。そうなると、今度は「チラシやパンフレットが作れるならホームページも作れるよね」と企業から声がかかり、本業のホームページ制作にもつながっていきました。「あのチラシがなかったら……」と考えてしまいます。本当にこの会社にとって大きな転機となったと思います。

サイトを作るデザイナーが企業ならではの「強み」を見つけないとダメ。制作からコンサルまで

現在の事業内容を教えてください。
ECサイトと企業ホームページをはじめとするWeb制作・管理がメインになります。それから、チラシやパンフレットの制作のほか、SNSの代行サポート、SEOなどの集客のためのコンサルティングなども行います。クライアントは県内の企業が中心です。

最近、料金形態を変更されたと伺いました。その意図を教えてください。
昨年末にスタッフと話し合い、料金プランを三つにしました。以前はその都度見積もりをお出ししていたのですが、用語や内容がお客さまに分かりにくいのではないか、という話になりました。そこで、この金額ならここまでできる。もう一つ上のプランならここまで、と理解しやすいように変更したんですね。

ホームページというと効果の実感が難しいイメージがありますが、実際のところはいかがなのでしょうか。
おっしゃるとおり、どこで効果があったかと判別するのは難しいかもしれません。しかし弊社では、企業サイトの場合、問い合わせの数を一つの基準としています。コンサルティング的な意味合いも含めて、クライアントさまの了解を得て、Webのデータを弊社でも見られるようにしており、そこで、Webサイトの作り直し前後で問い合わせの数を比較して、効果があったのか否か。また、さらに効果を上げるための策などをご提案することもあります。

企業サイトを作るうえで大切にしていることをお聞かせください。
デザイナーを必ず企業さまに訪問させ、打ち合わせには常に同席させる。場合によっては僕ではなく、デザイナー主導で話を進めさせるようにしています。同じ業種であってもやはり各社に色がある。その会社の強みというものはまったく違います。それの違いを表現するためには、デザイナーがそれ自体を見つけ出さないとダメだと思います。ですから、現場に行かせる。そういう部分は大切にしています。

地域とともに成長し、地域にもっと貢献したい。「新しい可能性を感じさせてくれる」人とともに

御社の今後の展望をお聞かせください。
「共存共栄」という言葉が好きで会社の経営理念にもしています。お客さまに利益を出してもらって、初めて弊社も利益が出る。そういった関係性をこの燕市内、新潟県内で築き上げ、会社として地元に還元していきたいと思っています。パンデミックも落ち着きましたし、もっと地域活動に参加して、この場所が楽しくなるように貢献してきたいですね。

今後一緒に働きたいクリエイター像はありますか?
今後、ホームページ制作がなくなるとは思いませんが、今までのように潤沢に仕事があるとは思っていません。だからこそ、新しいチャレンジをしていく必要があると考えています。ワクワクさせてくれるような、新しい可能性を感じさせてくれるような方とご一緒したいですね。先程、最初の従業員の話をしましたが、あの彼女のように、自発性を持って、どんどん提案してくれるような、そんな熱を感じる方は大歓迎です。

取材日:2024年3月25日

ケーネット株式会社

  • 代表者名:清水 啓吾
  • 設立年月:2019年8月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:ホームページ制作・管理
  • 所在地:〒959-0231 新潟県燕市吉田日ノ出町10-25 YKビル3F
  • URL:https://www.tsubame-k.net/
  • お問い合わせ先:TEL:0256-93-6113 FAX:0256-77-9010

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

コジマタケヒロ

コジマタケヒロ

新潟県

クリエイターズステーション

大学時代からライターとして文筆。大学卒業後は、新潟県内でエリア情報誌を発行する出版社に就職。編集に従事し、エリア情報誌の編集長や各種ムック本制作を担当する。2019年よりフリーランスに。出版社時代から得意ジャンルとしている日本酒や地域のグルメ情報を中心に新聞やウェブ媒体に執筆している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です