街角に28の物語。彫刻家・笹戸千津子のブロンズ像が息づく周南市【山口県周南市】

2 min 6 views

「本物の彫刻に気軽に触れられる機会を提供することで、次世代のみなさんの感性を育み、夢や希望を与えたい」

 風の美術館という名のプロジェクトは、広域に点在するブロンズ像をいつでも自由に鑑賞できる「垣根のない美術館」として、山口県周南市鹿野(かの)を拠点に始まりました。いつでも自由に、あるがままに、彫刻に触れてほしいという願いから、28の作品が周南市内に設置されています。

風の美術館に設置されているブロンズ像は、周南市出身の彫刻家・笹戸千津子(ささど・ちづこ)氏がてがけた作品です。

1948(昭和23)年、建築家の父をもつ三姉妹の長女として生まれた笹戸氏は、進学した東京造形大学で、彫刻家・佐藤忠良(さとう・ちゅうりょう)氏に師事。彫刻家としての厳しい道のりを歩み始めました。

同大学彫刻研究室修了後、佐藤氏のアトリエで制作活動を開始。佐藤氏の一番弟子として作品と向き合いながら、約40年にわたり、彼の作品のモデルを務めたことでも知られています。

その間も、数々の個展を開催しながら、100点を超える作品を全国各地に寄贈。笹戸氏の作品は、公共彫刻として全国各地に設置され、訪れる皆さんの目を楽しませています。

「始動の地」での除幕式

2026年4月4日、風の美術館のブロンズ像を代表し、鹿野のカフェ「ガーデンカフェ911」に設置されたブロンズ像の除幕式が挙行されました。

当日は、朝から注意報が発令されるという大雨模様。午前中のうちに現地に到着したものの、ごうごうと音を立てて降り注ぐ雨の強さに、本当に式典が行われるのか、と不安を覚えるほどでした。

午後1時、テントの屋根に落ちる雨音が響く中始まった除幕式には、大雨にも関わらず、テント内に設置された椅子に座りきれないほどの人が集まりました。

関連団体の代表あいさつや、バイオリン演奏などのプログラムの後、除幕の時間を迎えると、それまで傘が手放せないような大雨だったにも関わらず、不意に雨が弱まってきました。

まるで、天気までもが、除幕の瞬間を祝ってくれているかのようなタイミングの中、式典に列席した笹戸氏や、藤井律子周南市長らの手により、幕が取り除かれます。

除幕を見守る皆さんのあたたかい拍手の中、風の美術館の始動を感じさせるひとときになりました。

周南市各地で楽しめる「パブリックアート」

鹿野地域以外にも、風の美術館は展開しています。

現在、鹿野地域には、立像・頭像あわせて11作品が設置されています。これだけにとどまらず、周南市の市街地である徳山(とくやま)地域・新南陽(しんなんよう)地域でも、笹戸氏の彫刻を見ることができます。

笹戸氏の生まれた徳山地域では、周南市文化会館や中央図書館、周南公立大学などに加え、美術館の収蔵作品も含めると11作品が、新南陽地域では、レゾナック永源山公園に6作品が設置されており、市内全域で28作品が設置されています。

事務局でもあるガーデンカフェ911には、師・佐藤忠良氏と笹戸氏の資料館も設置されており、より笹戸氏について理解を深めることができそうです。

いつでも自由に、あるがままに、彫刻に触れてほしい……そんな願いを込めて、街なかに設置された28の作品たち。

周南市を歩くとき、ブロンズ像の姿を見かけたときは、笹戸氏の想いを感じながら、作品を眺めてみていただければと思います。

写真は全て筆者撮影:2026年4月4日・5日

情報

公式ウェブサイト「風の美術館」:www.kazenobijutsukan.com/

亀谷忠史

亀谷忠史

仕事の傍ら、”鹿野にエールを”をスローガンに、山口県周南市鹿野地域を広報活動で応援する「まちづくり応援団えーる」として活動中。執筆・写真・動画など、さまざまな方法で情報発信し、鹿野を知ってもらう活動をしています。余暇には食べ歩きをしたり、写真を撮ったり、猫を愛でたり、気ままに生きています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です