文政2年(1819年)創業の鹿野(かの)酒造株式会社。
7代目社長の鹿野博通(かの・ひろみち)さんにお話をお伺いしました。
「伝統的な銘柄は出来るだけ味を変えないようにしています。一方で新しい味にも挑戦しています。国内外多くの方に日本酒を楽しんで欲しいです」。
しっかりとした「コク・キレ・うま味」と、日本酒の製造方法の1つである「山廃(やまはい)仕込み」が持ち味の酒蔵で作られた「常きげん 純米大吟醸 KISS of FIRE」は、和洋中どの料理にもバランス良く合います。ジャンルを問わずに様々な料理と合わせられるその味は、日本だけでなく海外の方にも楽しんでいただける「新しい味」への挑戦のひとつです。
目次
秒単位の作業が仕上がりの味を決める
「米、糀、気温、何をとっても毎年同じものはありません。異なる条件でも同じ味を作れるかが杜氏(とうじ)の腕の見せどころです」。
鹿野酒造が慎重に行う作業のひとつに「洗米」があります。
「一人ひとり洗米ザルを抱えます。杜氏の声かけに応じて秒単位で浸水、水切りを行います」。
この厳密さには驚かずにいられません。
「限定吸水(※米への吸水を制限すること)といって、見極めが肝なんです。息を合わせて行います」と鹿野さんは語ります。
幾重にも張り巡らされた匠の技に感服です。
ここにしかない味を生み出す ”糀作り”は「感性×技術×手仕事」で醸される
「酒造りは肉体労働なんです。可能な限り機械を入れて、負担を軽くしたい」と話す鹿野社長。
機械化・省力化を進めながらも、代替出来ない作業があるといいます。
それは「糀(こうじ)作り」。
「仕込みの温度、時間。触って、食べて、その時の糀の状態が分かる。まさに杜氏の感性、センスですね」。
紡がれてきた感性と技は機械化とは対極のものかもしれません。だからこそ”ここにしかない味”が生まれるのですね。
石川・加賀へ思いを馳せて
「杜氏、社員、自社栽培田、水、全てこの地元(加賀)のものです。田植えや稲刈りも酒蔵のみんなで作業しに行きます」と曇りない笑顔の鹿野社長。
米作りからみんなで携わっている。それを聞いただけでも、ぜひ飲んでみたくなりますね。
「社員一同が丹精込めて作ったお酒です。石川・加賀への思いを馳せながら飲んでいただけたらと思います」。
日本酒に込められたストーリーにも思いを馳せながら堪能されてみてはいかがでしょうか。
唯一無二のひとときになること間違いなしです。