秋田県大仙市に、67年前に創業した「和栄堂」というお菓子屋さんがある。この店には「ソフトクリーム」ならぬ「ハードクリーム」という商品が売られている。見た目はソフトクリームだが、全く柔らかくなく、カッチカチなのである。
この商品は約50年前から売られている。当時「おかもち」に入れてかき氷を配達していたが、一緒にソフトクリームも入れて配達しようとしてこの商品が生まれた。「おかもち」は、料理や食器を持ち運ぶ際に用いる箱であるが、地域の大工さんが作った特注の「ハードクリーム専用おかもち」も誕生した。
現在、基本、ハードクリームは店頭での販売のみとなっており、なかなか、特注おかもちの姿は見られなくなってしまった。しかし、発売から約50年経った今でも各世代から愛されている。「孫に食べさせたくて1人で5、6個買っていく人もいるんだよ」と店主の佐藤勇弘さん(37)は教えてくれた。
ハードクリームはラップに包まれて売られている。「見た目を良くするよりも値段を抑えたかった」と佐藤さんは話す。手の届きやすい価格で、多くの人に楽しんでもらいたいという気持ちが伝わってくる。
大仙市に来た際に味わってみることをおすすめしたい。