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【写真①】
「見て見て!こんな大きいのが掘れたよ!」
子供たちの歓声が響いているのは、マンションに囲まれた中学校のプール裏に広がるいも畑です。
10月30日(土)、穏やかな秋晴れの下、千葉県浦安市立日の出中学校内の畑でさつまいもの収穫が行われました。
「日の出ふれあい農園」は18年前(2003年)、創立10周年を迎えた中学校が地域の人たちと一緒に草花や野菜を育てるために作った学校農園です。
500平方メートルの敷地は共同区画と参加団体の割り当て区画に分かれていて、様々な作物が植えられています。参加しているのは、学区内の自治会やボーイスカウト、浦安市のNPO「どろんこクラブ」など11団体。
ここ日の出地区は埋立地ですが、地域の人たちのパワーもあって、毎年たくさんの野菜が収穫されています。
この日は、共同区画で育てたさつまいもを収穫するため、参加団体や地域の子供たち、総勢40名ほどが集まりました。
大人も子供も夢中になって畑を掘り返す様子をご覧ください
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【写真②】手前にいも畑。いものつるはすでに取ってあり、すぐに掘れるようになっています。
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【写真③】掘り方の説明をする会長の小林寛重(こばやし かんじゅ)さん
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【写真④】
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【写真⑤】
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【写真⑥】
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【写真⑦】掘ったいもをお土産用に分ける様子
「ふれあい農園」の活動の柱は3つあります
1つ目は、参加する各団体がそれぞれの区画で楽しむ園芸活動。
季節の野菜や草花を植え、世代を超えた交流をしています。
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【写真⑧】自分の畑の手入れをする自治会の方たち
2つ目は学校との連携で、周辺に花を植えたり、植栽活動を行っています。
また学校内に「緑のカーテン」を作ったり、園芸部の生徒たちの活動に協力、支援しています。
そして、メインとなる3つ目の活動は「自然と食育活動」。
夏と秋に行われる収穫祭です。
春、共同区画に苗植えをして、夏にはじゃがいもを収穫。秋にはさつまいもや落花生を収穫するイベントで、収穫後には中学校の校庭で、蒸しいもや豚汁など、農園のみなさんが調理をした美味しいおいも料理を頂きます。中学校の吹奏楽部の演奏などもあり、近隣住民にとってとても楽しみなイベントです。
新型コロナの影響で昨年以降こうしたイベントの開催が難しく、今回もさつまいもを掘って、お土産に持って帰ってもらう、という内容になってしまいましたが、それでも泥だらけになっていもを掘る子供たちは、きらきらした笑顔で、とても楽しそうでした。
この活動を通して自然や食物への関心を高めること、また地域住民との交流を深めることで思春期の中学生たちは学ぶことがとても多いと感じます。
また、地域住民にとっても、農園活動はそれぞれの団体の中のコミュニケーションを深めるだけでなく、近隣自治会や参加団体同士の「顔の見える」コミュニケーションにもなります。
参加者は比較的高齢の方も多く、中学生とのふれあいは元気をもらえる一方、「顔が見える関係」になることで、地域での子供の見守りにもつながっています。
もちろん、畑で土いじりをすることの癒しの効果や、運動不足の解消にも一役買い、そして何より、日々育っていく無農薬の美味しい野菜を収穫して食べる喜びも。
子供たちにとっても、土に触れ合える貴重な機会となっています。
一石二鳥どころか、五鳥にも六鳥にもなる、そんな素敵なつながりです。
会長の小林さんに、今後の活動についてお伺いしました
「春夏秋冬、季節を感じながら、みんなと元気にやっています。早くコロナが収束して来年は収穫祭を再開したいですね。
イモを食材に豚汁を400食作って、中学生ほか、皆にふるまいます」
とのこと。
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【写真⑨】
まわりをマンションに囲まれた土地でも、ていねいに手をかけて育ててあげればりっぱな野菜が育ちます。「日の出ふれあい農園」のさつまいもは、地域の人たちと中学生の愛がつまってずっしりと重く、それはまた人と人との絆の重さでもあるようでした。
早く、そんないもを使った美味しい豚汁をみんなで食べられる日が戻ることを願ってやみません。