箱を開ける楽しみもごちそう。今池「侘び寂び」で味わう季節の玉手箱【愛知県名古屋市】

3 min 13 views

今池の住宅街にある和カフェ『侘び寂び』(わびさび)を初めて訪れたのは7月のこと。

古美術に囲まれた静かな空間で、季節の果実を使った「玉手箱セット」を体験しました。

そのときに印象的だったのが、自分の手で甘味を仕上げる楽しさと、店内に流れるゆったりとした時間です。

今回あらためて訪ねると、玉手箱は秋のぶどう仕様に。店主・柄澤さんにもお話を伺いながら、空間づくりへの思いや、玉手箱に込められたこだわりについて聞いてきました。

今池の住宅街にたたずむ、静かな和カフェ『侘び寂び』

今池の住宅街にひっそりとたたずむ和カフェ『侘び寂び WABISABI』。

外観は控えめで、知らなければ通り過ぎてしまいそうな静かな場所です。

扉を開けると、和の家具や古美術が並ぶ落ち着いた空間が広がります。その凛とした空気に、自然と気持ちも整っていくようでした。

古美術が支える、凛とした店内の空気

店内は約15席ほど。
和の家具と古美術品に囲まれた店内には、落ち着いたたたずまいと柄澤さんの美意識が感じられる空間が広がっています。

飾られている古美術品の多くは、柄澤さんのお父様が集められたものだそう。長い年月を重ねた器や置物が、この空間に深い味わいを添えています。

テーブルには大切に受け継がれてきた帯がセンタークロスとして使われ、和の空間にさりげない彩りを添えていました。

店内の古美術品について尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「特に決まった基準があるわけではなく、私自身が見て『この場所に合うな』『この空間に置きたいな』と感じたものを選んでいます」

古いものには長い年月を重ねてきたからこその味わいがあり、現代のものにはない魅力があるといいます。

さらに空間づくりについても、「物をたくさん置きすぎず、一つ一つのものが引き立つようにしています。お客様にゆっくり過ごしていただき、日常とは少し違う時間を感じてもらえるような、落ち着いた空間を心がけています」と話してくれました。

壁には名古屋ゆかりの画家による作品も飾られています。

なかでも柄澤さんお気に入りだという美人画は、ただ静かにたたずむ女性を描いた作品。派手さはないものの、見れば見るほど引き込まれる不思議な魅力がありました。

『茶房 行山』から受け継いだ時間

この場所は以前、喫茶・甘味処『茶房 行山』として営業していました。

その後閉店を迎えましたが、建物のオーナーでもある柄澤さんが『侘び寂び』として新たにオープン。

以前からこの場所を知る人にも、新しく訪れる人にも心地よく過ごしてほしい。そんな思いが、店内の穏やかな空気からも伝わってきます。

漆の箱から生まれた『玉手箱セット』

『侘び寂び』を始めるにあたり、柄澤さんにはひとつの思いがありました。

それは、漆の箱で甘味を提供すること。「漆の器や箱には、日本ならではの美しさや、昔から大切にされてきたものの良さがあると思っています」

さらに、「侘び寂びという店の雰囲気にも合いますし、箱を開けたときのちょっとした驚きや楽しさも感じていただけると思い、漆の箱を選びました」

と話します。

古美術に囲まれた空間だからこそ、漆の箱が自然となじみます。

ふたを開ける前から期待感が高まるのも、この甘味ならではの魅力です。

箱を開ける瞬間から始まる、季節との出会い

現在提供されているのは、11月末までの期間限定「ぶどうの玉手箱」(税込1,800円)。

ふたを開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは、季節の果実を中心に美しく並べられた甘味たちです。

玉手箱の上に並ぶお菓子は、お店の手作り。それぞれが主張しすぎることなく、季節の果実にそっと寄り添っているように感じられました。

思わず見入ってしまう華やかさがありながら、どこか上品で落ち着いた印象です。

夏にいただいた桃の玉手箱とはまた違う表情を見せてくれるのも、季節ごとに訪れたくなる理由のひとつです。

玉手箱には、その時季ならではの果実の魅力が詰まっています。

添えられたぶどうは、シャインマスカットとBKシードレスの2種類。なかでもBKシードレスは驚くほど甘く、口に含むと果汁がじゅわっと広がります。爽やかな香りのシャインマスカットとの違いを味わいながらいただくと、秋の豊かさを感じるひとときでした。

最後の一手を、お客様へ

『玉手箱セット』の最大の特徴は、自分で甘味を仕上げることです。最後の工程は、お客様自身に委ねられています。

「せっかく来ていただいたお客様に、ただ完成したものを召し上がっていただくだけではなく、最後にご自身で仕上げる楽しさも味わっていただきたいと思ったのがきっかけです」

ぶどうやカスタードプリンなどをお好みで組み合わせながら、自分だけの一皿を完成させていきます。

自分の手で仕上げるひと手間が加わることで、甘味を味わう時間そのものが、より特別なものに感じられました。

季節の果実に込めた思い

柄澤さんによると、この玉手箱には『茶房 行山』から受け継いだ思いも込められているそうです。

「茶房 行山ではフルーツを使ったパフェを提供しており、フルーツがお好きなお客様もいらっしゃいました。そうしたフルーツを楽しみにされている方にも喜んでいただきたいと思い、フルーツを取り入れた玉手箱を考えました」

以前からこの場所を訪れていた人への感謝と、新しく訪れる人へのおもてなし。

その両方が、季節の果実を主役にした玉手箱につながっています。

季節と向き合う、ひととき

漆の箱を開ける瞬間の高揚感。
自分の手で完成させる楽しさ。
そして古美術に囲まれた穏やかな時間。

『侘び寂び』の玉手箱には、季節の果実だけでなく、この場所が大切にしてきた時間も詰まっているようでした。

季節を感じながら自分だけの一皿を完成させる時間は、この店ならではの魅力なのかもしれません。

店舗情報

店名:和カフェ 侘び寂び(WABI SABI)
住所:名古屋市千種区今池3-28-1
電話番号:070-3545-3444
営業時間:13:00〜17:00(主にカフェタイム)1
定休日:水・木

Instagram:侘び寂びWABI SABI【名古屋 今池】(@wabisabi_imaike)

※画像:2026年10月11日 蜷川華撮影

蜷川 華

蜷川 華

Hanachiroru(ハナチロル)です。
書くことより食べることのほうが得意で、気づけばいつも美味しいものを追いかけています。
デイサービスで生活相談をしながら、ペットと一緒に過ごせる場所や、カフェ・ホテルグルメを中心にゆっくり綴っています。
まだ文章は勉強中ですが、「食」と「ペット」へのまっすぐな好きが、そのまま届けばうれしいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です